テイオーの長い休日

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前川泰之インタビュー

“悪役”前川泰之、バラエティ全否定の2サスの帝王とついに対決!
「でも、僕は『スカッとジャパン』にとてもお世話になりました(笑)」

船越英一郎が元2サスの帝王・熱護大五郎を演じる土ドラ『テイオーの長い休日』(東海テレビ・フジテレビ系全国ネット)。昨今のドラマ業界のリアルを赤裸々に描きながら、悩みを抱えた登場人物たちを熱護が救っていくヒューマンコメディだが、そのセリフは他業種で働く人にも刺さるようで、付き人の萩原匠(今井悠貴)の事務所移籍問題を取り扱った第5話では「熱護語録の連発!」、「『仕事は大きさで選ぶな。人で選べ』と言った(匠の)お母さんの言葉が深い!」など、平日忙しく働く人たちにとって土曜の夜の密かな楽しみになっているようだ。

これまでドラマ内で描かれたのは、仕事欲しさにプロデューサーの言いなりになっていた新人脚本家や、自分の思うような仕事が与えられずくすぶっていたバラエティ番組のディレクター、何のために夢に向かって頑張っているのか分からなくなった少女など、目的があるからこそ悩んでいた若者たちだ。そんな悩める若者たちに自分の信念を曲げない元2サスの帝王が、「仕事がなくても貫く信念」を見せ、それぞれに気付きを与える、胸アツな展開になっている。

そんなドラマの中で悪役として登場し、「出世」だけを目的にしたキャラクターが、明日放送の第6話で熱護と対峙する。前川泰之演じる、大手事務所・トレランスの専務・寿彰(ことぶきあきら)は、社長になることだけを目的に汚いやり方も是として突き進む男。SNSでは「最終話で寿がギッタギタにやっつけられるのを期待して待ってるw」などコメントまで書き込まれるようになったが、早くも6話でラスボス降臨!?作品に緊張感を与える悪役を演じて、そこまで “視聴者に嫌われること” に成功した前川に、役作りやこの作品、役どころを、どのように感じているのか聞いた。

寿 彰(ことぶきあきら・48)役 前川泰之インタビュー

寿を演じることで、人間の深さに気づいたりしました

――熱護にも、ゆかりにも、そして2人が所属するオリプロにも、つねに黒い影を落とし続ける「寿」ですが、どういう気持ちで演じている?

「寿という人間は、いろいろと策を練る人で、相手の人によってあれこれ態度を変えたり、そういうことも平気でできちゃう人なので、いろいろな表情とか側面を見せるのがいいんじゃないかな、と思って演じました。攻めるところは攻めたり、クールなところはクールだったり、おちゃらけるところはおちゃらけたり……いろいろな側面を見せておけると、寿の根本にあるものが際立ってくるかなぁ、と。

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ただ、そうやって寿という役を演じるなかで、“人間って、こういうことなのかな”と思ったことがあるんです。それは、人が社会生活とか、生きていく中で、他の人に見せているところというのは、実はほんの一部分でしかないんじゃないか、ということなんです」

――人間は、すべてを人前に見せて暮らしているわけではない…と?

「人間って、人の前で見せている自分というのは、ほんとに何割でしかないと思うんです。だからこそ、寿という悪役を演じるにあたっては、見えていないところを意識しながら、外に出す部分を強調していくことで、あとで “ああ、そういうことか!” と見る人にも分かってもらえるかなと思いながらやっております(笑)」

――いきなり、“人間の深さ” に入ってきますね。

「いやいや、そんなことないです、ほんとに(笑)。今回も船越さんとか、大ベテランの先輩と一緒にやらせていただいていて、考えている深さとか、言葉の端々に感じられる深さとかが、もう段違いで…。 “うわぁ~~、やっぱ ちげーなー!” などと思いながら、日々勉強させていただきました。そういう経験をさせて頂けたのはものすごくありがたいですね」

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俳優・前川泰之が、俳優・熱護大五郎から学んだこと

――「熱護」の生き方から学んだことも、沢山あったとか。

「そうなんですよ!熱護さんって、俳優として強烈な生き方をしているじゃないですか。その端々をみるだけでも、 『あ、確かにそうだよね』 と気づかせてもらうというか、自分に対する戒めを含めて、そうだなと思ったことがあります。
二つあるんですが、まずひとつは、 『手を抜くな』 という戒め。熱護さんの言葉のそこかしこに出てくると思うんですが、仕事に対して、とか、役を作るといったことに対して、絶対に手を抜いちゃいけない。それは、他者からの評価に応えるためにそうするのではなくて、結局は自分との闘いみたいなことになってくる。
僕らも現場に臨むにあたって、どれだけ準備をしていけるか……もちろん、現場のその場でもいろいろと勝負をしなきゃいけないんだけど、そこに至る前に、どれだけ自分で準備をしていけるか、が大きな分かれ目になっていくと思うんですね。

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手を抜こうと思えば、『あ、これはこれくらいでいいか、これくらいで行けるんじゃないか』ということもありがちですけど、でも、やっぱり、もう “これ以上、ない!” っていうところくらいまで準備をして現場に臨まなきゃいけないよなぁ、と。これは、熱護さんの姿勢を見ていて、すごく思いました。
役者って、ほんとに、自分の性格や性質と闘うようなところがある職業だと思っています。僕自身は、けっこう、のんびり屋さんでマイペースなところがあるんですが、この “手を抜かない” というところは大事だと思い知らされました。」

――もうひとつは?

「時代の流れに関する事です。僕自身として、実はここ数年、生き方とか、仕事に対しての向き合い方が、難しくなってる気がしていまして。選択肢が増えたりだとか、情報発信の仕方が増えたりだとか…役者として、お芝居していくことだけを突き詰めていければいいんだけど、そうではない…お芝居をする以外の部分がたくさん出てきたな、と感じています。そういうなかで、『あぁ、俺、こんな活動もやった方がいいのかな』とか思え始めたりして…。僕、わりと、考えがちょいちょいブレたりすることがあるんで、熱護さんを見ていると、『あぁ、こうやってブレずにやっていける人は、すげーうらやましいなぁ!』と(笑)。 しかも、最終的には、自分の考えとか、自分の中の価値観、自分がやりたいかやりたくないか、というところで判断しないとダメだよね、ということにも気づかせてもらいました。」

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――熱護さん、しぶといくらいにブレないですからね(笑)。

「僕、何年か前に、ようやく役者としてちゃんと見てもらえるようになったと思った時がありまして…。その時に、『よっしゃ!これで俺も安泰か!』と思ったら、そこからババっとバラエティにも出るようになった時に、内心『俺、こっちを望んだわけじゃないんだけどなぁ…』 なんて思っていた時期がありました(笑)。それはそれで、知名度とか認知度とか、お芝居以外の部分で皆さんに知っていただく為でもあるんですけど(笑)。
僕は2005年か2006年くらいに役者としてデビューしたんですが、その当時には、Twitterも、facebookもまだ日本のどこにもない時代でしたからね。俳優業をやっている人が、SNSで情報発信するようになったのは、もう本当に最近…それも最近、急激に誰もがやるのが当たり前のようになっている。今の時代が、メディアなり…媒体がすごく増えて、そういう中で役者の仕事をして生き残っていくのも大変だし、そういう不安を抱えたなかで、気持ちが転びそうになる。そんな時に、この、熱護大五郎という人の生きざまを見ると、自分がいままで大切にしてきたことを、そう曲げちゃいけないんだということに気づかせてもらえたような気がします。まぁ、熱護さんみたいには、なかなかできるものではないですけど(笑)」

――「俳優がバラエティに出ること」については、熱護さんが第1話でまっさきに全否定していました。

「僕は、フジテレビの『スカッとジャパン』とかめっちゃお世話になりましたからね(笑)。ま、時代や世代によっていろんな手段や方法はありますし、僕は、否定も肯定もしませんし、良い悪いではないと思っています。」

熱護が寿に対して伝える珠玉の謎解きをぜひお見逃しなく!

――最後に、視聴者のみなさんに「寿彰」の視点から、見どころやメッセージなどを…。

「5話から6話にかけては、このドラマシリーズの中でも“第二章”として位置づけられている、大きな転換点となっています。今まで1話や、2話、3話、4話をご覧いただいているなかで、視聴者の皆さんが謎に思っていたところが、いくつか解き明かされる回でもあります。

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登場人物のそれぞれが、自分なりの正義とか哲学のようなものを持って生きていて、それがゆえに互いに衝突したりすることも起きている。そこで人は、どうやってその衝突に決着をつけていくのか…。そういうところを見ていただけると、業界の中だけのことでなく、もっと普遍的な何かに気が付いていただけるかもしれません。

あと、寿が、熱護大五郎さんと真正面から向き合って、話をするシーンが出てくるんですけど、そこでのセリフが、僕はすごく心に刺さってしまいまして…もう、見ていただけると、すぐにわかっていただけると思いますが、とてもいいシーンになっています。

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実は、僕は今年50歳になるのですが。そんな人生のひとつの区切りを迎えるタイミングで、こんな感じ入る言葉がたくさんある作品に参加させていただけたのは、もう、ほんとに良いご縁だったなと思っています」

ドラマの初回からストーリーに緊張感を与え続けてきた、“随一の嫌われ役” 寿に、どのような結末が訪れるのか。そして熱護は、そこにどう働きかけていくのか。物語がひとつのクライマックスを迎える第6話「決めつけない男」は、明日7月8日(土)夜23時40分放送だ。