大阪では11月1日、大阪市を廃止して4つの特別区に再編する「大阪都構想」への賛否を問う住民投票が行われます。

 都構想といえば、東海地方にもかつて「中京都構想」がありました。愛知県の大村知事と名古屋市の河村市長がおよそ10年前に掲げましたが、この言葉自体聞くことがなくなりました。今どうなっているのでしょうか。

 愛知県庁本庁舎。それは、地下の会議室の片隅にひっそりと置かれていました…。

愛知県政策企画局企画課の担当者:
「こちらがですね、中京独立戦略本部の会議を開催した時に作った看板になります」

 ビニールに包まれていた板には、「中京独立戦略本部」の文字。かつて愛知県と名古屋市が「中京都構想」について協議する場にかけられた看板です。

河村名古屋市長(2011年1月):
「県と一緒にやると全然違うの。1+1は2じゃないの!」

 遡ること9年前…。「中京都構想」を共同公約に掲げ、選挙戦に勝利した大村・河村の「村村コンビ」。

大村愛知県知事(2011年2月):
「国から独立して、元気な、日本一元気な強い大都市、愛知・名古屋をつくるんだと」

 当選直後に、中京都構想を実現するための「中京独立戦略本部」を共同で立ち上げました。看板も、2人仲良く掲げていましたが…。

河村名古屋市長(2012年2月):
「尾張名古屋共和国を創っていく。ユナイテッド・ステイツ・オブ尾張名古屋という感じですね」

 名古屋市を中心に、尾張の自治体が連携する「尾張名古屋共和国」構想を打ち出した河村市長に対し、大村知事は県と市の上に司令塔として「中京都ホールディングス」を置く構想を掲げ、議論は平行線に…。

 次第に「村村コンビ」の亀裂は深まり、結局、中京独立戦略本部の会合は5回しか開かれず、十分な成果もないまま、2014年3月に「一旦」終了。それ以来6年半、一度も開かれていません。

 事実上頓挫した形の中京都構想。10月に開かれた会見で「村村コンビ」は…。

大村愛知県知事(10月12日):
「私も県としても誠実に進めてきた。何でそうなっていないのかということについては、そうしなかった方に説明をしてもらわないかんのではないでしょうかね」

河村名古屋市長(10月19日):
「同床異夢というのが正しいとこだと思います。大村さんのホールディングスというのがなんか出てきましたけど、何かわしもアレ何遍見てもようわからんのですけどね」

 中京都構想を打ち出してから10年近く。「村村コンビ」の間には、すきま風が吹き続けています。