名古屋駅前に計画されている巨大ビルの着工延期。10日に名鉄が正式に発表し、計画の見直しにも言及しました。新型コロナで変わった新しい「働き方」が名駅前の再開発を直撃した形です。

 名鉄が開いた10日の会見。近鉄などと共同で名古屋駅周辺に建設を計画している高層ビルの着工を、当初表明していた2022年度から延期。2024年度をめどに事業を見直すと明かしました。

名鉄の担当者:
「当社から見ると、需要の変化をしっかり見極めてから、開発に取り組んでいきたい」

 2000年以降、次々に高層ビルが建ち、活況を呈していた名古屋駅エリア。今その勢いに急ブレーキがかかっています。

 名鉄百貨店から太閤通りの南まで、およそ400メートルにわたる巨大ビル計画。ホテルや商業施設、それにオフィスなどが入る想定です。

 しかし、新型コロナの影響による需要の変化を見極めるとして、名鉄は着工延期を表明しました。

 実は今、名古屋駅周辺のオフィス街ではある異変が生じています。

(リポート)
「こちらはオフィス仲介業者のホームページです。オフィスビルの空き状況を示しているんですが、駅前の誰もが知っているような高層ビルでも、空きがあることがわかります」

 名古屋駅前の一等地にある高層ビルのオフィスでも、「空き」を意味する「資料請求」のタブがついています。中には…。

(リポート)
「グローバルゲートは、かなり空いている印象ですね」

 2017年に開業した、ささしまライブの「グローバルゲート」。6階から29階がオフィススペースです。去年11月に6フロアを使っていたユニーが本社機能を移転。今でも空きが埋まりきっていないようです。

 名古屋駅周辺のオフィスの空室率は4月から5カ月連続で上昇し、9月時点では3.53%と比較的高い水準となっています。そこには、コロナの時代が変えた「働き方のかたち」が関係していました。

 大名古屋ビルヂングの30階から32階に入るIT企業「エイチーム」は、新型コロナを契機にテレワークを拡大。

エイチームの担当者:
「仕事をするという意味においては、全くと言っていいほど影響はないです。オフィスに来ることの意義とか意味を、再定義を今後していかなければいけないかなと思っています」

 エイチームは来週以降、同じ名駅エリアのルーセントタワーに置いていたコールセンター部門を大名古屋ビルヂングに移転し、オフィスを集約することに。働き方の変化が、一等地のオフィスの需要に影響を及ぼしているのです。

 再開発を続けてきたナゴヤの今後について、専門家は…。

中京大学経済学部の内田客員教授:
「コロナの影響に関しては、オフィスや店舗を都心の一等地に構える必要性が薄れてきている。リニアの開業の遅れに関しても、2027年という予定が翌年以降にずれ込むということが確実な情勢になっていますので、開業を見据えて不動産投資の対象が名駅・栄でも周辺部まで広いエリアに拡大していたんですけれども、利便性の高い所だけが安定して、それ以外の需要は減退した状態が続くとみております」