知事リコール署名に不正疑惑…「同一人物が複数書いた疑い」 住所に向かうと「書いていない」の声も
愛知県の大村知事に対するリコール署名活動を巡り、ある疑惑が浮上しました。署名集めをしたグループなどが4日に会見し、「同じ人物が複数の署名を偽造した疑いがある」と訴えました。
不正に署名された疑いのある住所へ実際に向かってみると、驚きの事実が明らかになりました。
4日午後、愛知県庁で会見を開いたのは、大村知事に対するリコール署名で実際に署名を集めた「受任者」らのグループや、その責任者にあたる「請求代表者」。会見の場で訴えたのは『署名集め“不正”疑惑』です。
請求代表者:
「筆跡が全部同じである。誰かが住民データを側に置いて、それをずっと丸写ししていったんだろうな」
なんと「同じ人が複数の署名を書き、偽造した疑いがある」と訴えたのです。
去年開かれた『あいちトリエンナーレ』を巡り、高須クリニックの高須克弥院長と名古屋市の河村たかし市長が進めた、大村知事のリコール運動。
11月、高須院長の体調不良が理由で、署名集めは途中で終了しましたが、2か月で必要な署名の半数にあたる43万余りの署名が集まりました。その署名に浮上した今回の疑惑。一体どういうことなのか…。
実際に、署名簿のコピーを見せてもらうと…。
リコール署名元受任者の水野さん:
「日にちが違うし、名前がほとんど同筆跡なんですよ」
別々の人の名前が書かれた文字を抜き出してみると、「子」や「増」などよく似た筆跡がいくつもあり、書かれた署名の住所を並べてみても、確かに似ているように見えます。
不審な点に気付いたという水野昇さんは、受任者として集まった署名を提出する作業を手伝っていた11月4日、同一人物とみられる筆跡があることに気付いたといいます。
水野さん:
「誰が見たって筆跡一緒ですよ。量から見て計画的です。驚きました」
水野さんによると、なんと300余りの署名が、たった2人の手によって書かれた可能性があるといいます。
不正は実際に行われていたのでしょうか。名簿に書かれた尾張旭市内の住所に向かってみると、衝撃の事実が明らかになりました。
Q.こちらの住所・お名前は、ご自身で間違いないですか?
署名簿に記載されていた人:
「間違いありません、生年月日もあってるし。ただこの筆跡には全然覚えがないんです。(Q.リコール署名された?)書いたことはありません。書いてません」
住所と名前が一致する人物はいましたが、「署名を書いていない」ことが明らかになりました。さらに別の住所でも…。
Q.こちらご自身ですか?
署名簿に記載されていた別の人:
「えぇ、私ですけど字が違うな…。(書いた覚えは)ないです」
Q.この(署名の)お名前は娘さんですか?
また別の人:
「はい、娘です。今いないです、嫁いで。もう20年くらい前」
取材した5人のうち、2人が「署名を書いていない」と証言。さらに残りの3人は、記載された住所に住んでいませんでした。
請求代表者:
「各選管を回っています。それで不正とみられる署名簿が8割」
不正とみられる署名は蟹江町などでも確認されていて、署名集めの責任者にあたる請求代表者らは、地方自治法違反の疑いで刑事告発を検討。警察と相談を進めています。
今回浮上した不正疑惑について、リコール活動を全面的に支援していた河村市長は…。
Q.不正疑惑についてどのように受け止めている?
河村名古屋市長:
「まず不正不正言っとるけど、無効ですわね、それ。考えられんですよ、審査ですぐ分かるんだから、無効って」
一方、大村知事は…。
大村愛知県知事:
「いろんな情報が私の耳にも入ってきますけれども、投票の偽装と署名の偽造はですね、全く同じ量刑・同じ罰則・罪でありますから、軽くない。事実関係は明らかにされなければならない。関係者は事実関係を明らかにする義務がある」
現在、各地の選管で保管されている署名は、1月にもリコール活動をしていた団体に返却されますが、団体の事務局は「プライバシー保護のため、署名簿は溶かして処分する」としています。