「自民党の立場使って抜け道知ってる」衆院議員スタッフが持続化給付金の不正受給勧誘か 裁判で被告が証言
自民党衆議院議員のスタッフが、持続化給付金の不正受給を勧誘した疑いが浮上しました。
持続化給付金を騙し取った罪に問われている愛知大学の元学生が、18日の裁判で、犯行前に自民党の衆院議員のスタッフから不正受給の勧誘ともとれる話を聞いたと証言しました。
愛知大学の元学生大矢圭一郎被告(21)。去年、他の大学生らと国の持続化給付金あわせて300万円を騙し取った罪などに問われています。
これまでの裁判で、起訴内容を認めている大矢被告。名古屋地裁一宮支部で開かれた18日の裁判で、驚きの発言が…。
Q.誰かから誘われていた?
大矢被告:
「友達の友達に紹介された、自民党の○○の話を聞きに行った」
大矢被告が持続化給付金の詐欺に手を染めるきっかけとなったされるセミナーとは…。
<セミナーの音声>
「衆議院秘書選挙区事務局の○○と申します。よろしくお願いいたします。私ども自民党としましては、皆さんが持っていない情報を持っている」
これは、東海テレビが入手した大矢被告らが参加したセミナーの音声。関係者によりますとこの声の主は、愛知県内選出の自民党衆院議員のスタッフをしていたという30代の男性です。
男性が会場で配っていたという名刺には、愛知県内選出の自民党衆院議員の名前で事務局と記されています。
男性は2019年10月からおよそ1年間、街頭活動や党員集めをしていたといいます。その期間中の去年5月、男性が名古屋市内でセミナーを開き、大矢被告など大学生ら10人以上が参加。そこで語られたのが…。
<セミナーの音声>
「今年の4月からですね、コロナ給付金というのがすごくはやっていますけど、このグレーゾーンのところをグレーゾーンにしない方法、ちゃんともらえる条件になる方法が、基本的に経済産業省のHPには書いてないもんですから、そこで私は自民党という立場を使ってその抜け道を知っているので…」
「自民党という立場を使って抜け道を知っている」持続化給付金の詐欺を持ちかけるような話でした。
本来持続化給付金は、前の年と比べ売上が半減した個人事業主など以外は、受給できません。しかし、自民党衆院議員のスタッフをしていたという男性は…。
<セミナーの音声>
「個人事業主としてちゃんとやっていく意思があったんだということをちゃんとしておけば、不正受給にはならないわけですから。廃業届を出すっていうことが、これは誰でもOKなんですけど、ただこの売上を作るアドバイスとかはちゃんと秘密厳守で」
さらに…。
<セミナーの音声>
「基本的には、もちろん僕らが成功報酬から貰う分に十分含まれておりますので、確定申告の説明から全部やります」
給付金を騙し取ったあと、成功報酬を男性側に支払うよう求める趣旨の発言も。自民党衆院議員のスタッフという肩書を掲げ、持続化給付金の詐欺を持ちかけようとしていたのでしょうか…。
その後、大矢被告は別の人物から勧誘を受け、持続給付金の詐欺に及んだとみられます。
Q.話を聞いて本当だと思った?
大矢被告:
「その時は○○の話が本当だと思った」
18日の裁判で大矢被告は、元スタッフの男性から持続化給付金の不正受給の勧誘とも受け取れる話を聞いたとしたうえで、「その時は信じました」と証言しました。
この問題について、衆院議員の事務所は…。
<愛知県内の衆院議員事務所>
「厳粛に受け止めています。事務所の許可なくセミナーで持続化給付金の話をしたことが判明したので、名刺を回収し、事務所への出入りを控えてもらいました」
衆院議員の事務所は「捜査協力依頼があれば全面的に協力する」としています。