今回の豪雨では、多くの車が水没する被害に遭いました。もし車が運転中に水没してしまったら、どうやって脱出すればいいのか、警察官が防災講座を開きました。


 14日朝、愛知県江南市で地域住民およそ60人が集まり行われたのは、愛知県警による防災講座。先週から続く大雨で、もし車を運転中に水没してしまったら、どうやって抜け出せばいいのか、警察官が教えてくれました。

警察官:
「車で冠水した現場、アンダーパスなどに入るのは、そもそもやめてください」

 そもそも、車が水没するとどのような状態になるのか。以前、アンダーパスを想定して水没した車から扉を開けて脱出できるか実験した映像です。停車した車に水を入れていきます。水深は20センチ。

(リポート)
「車のドアを開けてみます。おっとっと、ちょっと圧はありましたけれども、なんとか…ゆっくりではありますけれども、開けることができました。すごい勢いで水が入ってきますね」

20センチの高さで、ドアにかかる水圧は16kg。この段階では水圧は感じるものの、しっかりとドアを開けることができます。しかし、水深60センチになると…。

(リポート)
「動かない!これは動かない。これ全身で、運転席のドアを押しているんですけれども、開かないですね。全力で体重をかけて押しても、全く運転席のドアは開きません」

水深60センチになると、144kgもの水圧がドアにかかるといいます。ドアの面積全体に水圧がかかってくるため、水深が増すごとに、扉は開かなくなってしまいます。そこで、警察官が教えてくれたのが、「ヘッドレスト」を使って窓を割る方法です。

 水没して扉が開けられなくなったと想定した軽乗用車。脱出するために、運転手役の警察官が手にしたのは、座席に設置されたヘッドレストです。

柄の部分を窓ガラスにぶつけても、割れる気配はありませんが、いったいこれをどうやって使うのでしょうか?

警察官:
「(窓ガラスの)隙間に(ヘッドレストの)棒を一本差し込みます」

ヘッドレストの柄の部分を、窓ガラスと扉の隙間に差し込み、警察官が力を加えると一瞬で窓は粉々に。

今度は77歳の女性がチャレンジ。今回は安全のため、外から立って実験しました。

女性:
「こういう風に?(窓が割れる)」

女性でも簡単に、窓ガラスを割ることができました。

窓を割った女性:
「あれは本当にびっくりしました。あんなに簡単に。落ち着いてやれば誰でもできることですよね」

警察では、この方法以外でも、ホームセンターで販売する窓ガラスを割る特殊工具を使うことも薦めていました。

愛知県警の担当者:
「日頃から、土地が低い場所を把握してもらえればいいと思います。いざとなったら、ヘッドレストを活用してもらう方法もありますが、ホームセンターに行くとガラス割り器も安価に売っていますので、そういうのも活用してもらうのも一つの方法です」