かつて人気を集めた三菱自動車のパジェロなどを生産している、岐阜県坂祝町の「パジェロ製造」が、2021年に閉鎖されることが決まりました。

仕事も生活もまさにパジェロと共にあった坂祝町、地元の人たちは戸惑いを隠せません。

 1990年代のRVブームで一世を風靡した「パジェロ」を一貫生産してきた会社が、この岐阜県坂祝町にあります。岐阜県坂祝町の「パジェロ製造」。三菱自動車の子会社で現在はパジェロの輸出向け車両をはじめ、ミニバンのデリカD:5などを製造しています。

 27日朝、従業員は不安を抱えながら出勤しました。

従業員:
「売上が不振で、それにコロナで追い打ちかけられた。みんな違う工場に行ったりとか。不安ですね」

 三菱自動車は27日夕方、記者会見を開き、パジェロ製造の生産を2021年上期に停止し、工場を閉鎖すると表明。デリカなどの生産は岡崎工場に移管しますが、パジェロは輸出も含め、完全撤退となります。

 企業城下町「坂祝町」は、工場閉鎖を深刻に受け止めています。坂祝町の公用車は8割が三菱製です。

坂祝町尾関正仁教育課長:
「(Q.これが小学校で使われてる?)そうですね。小学校で使われている副読本になります」

 坂祝町の小学校の社会科の授業で、実際に使われている教材には…。

尾関教育課長:
「『自動車ができるまで』ということで、組み立ての工程が載っています。年に一回、大体70人前後の児童が、パジェロ(製造)さんに見学させてもらって、働く人たちの様子や車ができる組み立ての様子を見て勉強してます。坂祝町の歴史を見ても、大きな存在であると思っています」

 町の財政への影響も懸念されています。パジェロの国内向け生産をしていた2018年度は、町の法人税収の実に34%をパジェロ製造が占めていました。

工場閉鎖の決定をうけ坂祝町民は…。

坂祝町民:
「撤退されるとなると、寂しいなぁ。あと、働いている方には死活問題ですから…」

別の町民:
「大変だな、これから。町の税金(収入)が少なくなるので。娘も大阪にいるんですけど、わざわざニュースを送ってくれて、『大丈夫?』ってきたので」

柴山佳也坂祝町長:
「『パジェロの町・坂祝』という感覚でずっといたものですから、突然の閉鎖は大変寂しさを感じています。本当に、行政にとってはパジェロ製造という存在は、大きな大きな企業でしたのでとても寂しく感じています」