今シーズンの台風は、発達しながら日本に接近・上陸するケースが多くなるとみられています。1日に発生した台風10号について、気象庁は特別警報級だと警鐘を鳴らしています。その理由や傾向について、専門家に伺いました。

気象庁の担当者(会見):
「中心気圧930ヘクトパスカル、それから最大風速50メートル毎秒、それくらいの勢力まで発達する予報を発表しています。これは、特別警報級の勢力と言えるような勢力です」

「特別警報級」と気象庁が表現する台風10号。9月6日から7日にかけて九州地方に接近、または上陸する恐れがあるとみられています。

 台風になる前から気象庁が警鐘を鳴らす台風10号。気象学が専門の名古屋大学・坪木和久教授に聞きました。

坪木教授:
「この強度は伊勢湾台風の上陸時が929ヘクトパスカルくらいでしたので、それに匹敵するような強度になる」

 1959年9月の「伊勢湾台風」が、和歌山県に上陸したときの中心気圧は929ヘクトパスカル。台風10号はこれを上回る920ヘクトパスカル付近まで発達すると予想されています。さらに、風速についても…。

坪木教授:
「2018年の台風21号、最大瞬間風速50メートルを超える台風であったわけですけれども、まさにこのような強さの台風」

 2018年9月、25年ぶりに「非常に強い」勢力で上陸した台風21号は、最大瞬間風速58.1メートルを記録。大阪市内では暴風による被害が相次ぎました。

 それを上回る可能性があるといわれる台風10号。その理由として指摘されているのが海面水温の高さです。

 30度以上を示すピンクのエリアが広範囲に広がっています。意外にも今シーズン台風が少なかったことが影響しているといいます。

坪木教授:
「7月に台風が発生しなかった。8月もかなり数が少なくて、太平洋上の温度がどんどんと、これまで台風が発生しなかったことで(海面)温度が上昇している。そのたまったエネルギーが今後台風を発生させる可能性がある」

 エネルギーを吸収しながら北上する台風10号、坪木教授が懸念する東海地方への影響は、「風」よりも「雨」です。

 2000年9月の東海豪雨では、台風本体から遠く離れた東海地方に激しい雨を降らせました。

坪木教授:
「まさにこの10号、このあたりを通過するんです。東海地方そこから離れているので大丈夫だろうと思われるけど良くなくて、かなり離れていても大雨になる。これまでの経験に基づく対策ではなく、今の状況を良く判断して早め早めの避難をする、それが命を守る上で最も重要ということになります」