コロナ禍の中でも、お店の味を自宅で楽しめると需要が伸びているテイクアウト。岐阜県土岐市に、街をあげての太っ腹なアイデアで人気のテイクアウトメニューがありました。

 飛騨牛をたっぷり乗せた「すき焼き丼」。岐阜県土岐市の寿司店のテイクアウトメニューです。味はもとより「ある理由」で今人気を集めています。

利用客:
「他ではあんまりやってないからいいですよね。ゴミにならないし、家で使えるし」

別の利用客:
「(普通は)プラスチックの容器に入ってくるんですけど、全然味が違うみたい。どんぶりの方が感じがいいですよね」

 盛り付けられているのは、土岐市の名産品・美濃焼のどんぶり。このどんぶりは食べ終わっても返す必要はありません。つまりプレゼントなのです。「街グルメ」と「名産品」のコラボレーション。この企画を仕掛けたのは土岐市の商工会議所です。

土岐商工会議所の担当者:
「飲食店も非常にテイクアウトに力をいれておりますが、普通のテイクアウトではなかなか買っていただけない。ただし今回はプレゼントがあるということで、飲食店の方もより効果があるということで喜んでおられます」

 新型コロナの影響で苦境に立たされる飲食店と美濃焼メーカーを支援しようと、去年12月から始めたこの企画。土岐市内の飲食店や温泉旅館など、合わせて13店舗が参加しています。参加店は、市内にある8つの美濃焼メーカーからどんぶりを購入しますが、そのうちの半分は商工会議所が負担します。

 あるお寿司屋さんでは、企画に合わせてどんぶりの良さを生かしたテイクアウト用のメニューを考案しました。A5ランクの飛騨牛をご飯にのせたすき焼き丼。それにカニやマグロなど海の幸を盛り付けた海鮮丼です。

 店では企画が始まる前は、仕出し弁当をプラスチックパックに詰めて販売していましたが、その時と比べお客さんは4倍に増えたといいます。

駒寿しの店長:
「それまで注文されなかったお客さまにも知っていただく機会になりましてので、良かったかなと思っています」

 一方、創業89年の美濃焼メーカー「カネ定製陶」。コロナ禍による飲食店の売り上げ不振に伴い、器の注文が半減する中、飲食店とのコラボに期待を寄せています。

カネ定製陶の担当者:
「地元の飲食店さんが苦しんでみえる中で、いいきっかけになって美濃焼を使った器として盛り上げていけたら、土岐市としてすごく良い流れになるんじゃないかなと思います」

 商工会議所では現在、第2弾として4月からお皿での料理のテイクアウトを計画中。

土岐商工会議所の担当者:
「例えば洋食屋さんや総菜屋さんも参加できますし、喫茶店も手軽にメニューの提案ができると思っています。この地域にとどまらず、土岐市内はもとより外に向けて、全国の飲食店に対して販路を拡大していきたいと考えております」