今人気になっているソロキャンプで、愛知県小牧市の金属加工メーカーが手掛ける「おひとり様用」の鉄板が人気を集めています。

 厚い肉もおいしく焼けると今話題の鉄板。その名は「“鍛冶屋の頓珍漢”ミガキ鉄板」です。

 人気に火がついたきっかけは、登録者数35万人を超えるユーチューバーが投稿した動画。去年9月に取り上げられて以来、売れ行きは右肩上がりです。

 油が垂れないよう精巧に施された高さ3ミリの溝、焼き面の厚さは6ミリと一般的なものよりもぶ厚く仕上げられています。さらに、美しい輝きを放つ鉄板の表面は、職人が一枚一枚手作業で磨いた逸品です。

 高い技術力が生み出す本格的な一枚。それもそのはず…。

セイコーの村下さん:
「ソロキャンプ用のミガキ鉄板を弊社は製作・販売していまして」

 ミガキ鉄板を作っているのは、愛知県小牧市に本社を構える「セイコー」。新幹線など鉄道車両の部品や、建築資材を手掛ける金属加工のプロフェッショナルです。

 工場に設置された大型の加工機械。普段は工業製品を作り出すこの機械で鉄板を切り出します。切り出した鉄板を削りにかけ、さらに熟練の職人が手で磨きをかけることで、鉄板が完成します。

 “鍛冶屋の頓珍漢”ミガキ鉄板を作り始めたのは去年8月のこと。会社を取り巻く環境の変化がきっかけでした。

セイコー の村下さん:
「このコロナ禍で生き残っていくために、新しい事業をウチもやっていきたいよねという中で、過去の経験がヒントとなって、じゃあ鉄板やってみようよと」

 新型コロナによる景気の落ち込みで、注文は3割ほど減りました。

セイコーの村下さん:
「普通の鉄板をやったって面白くないので、じゃあノウハウがあるミガキ鉄板、磨いた鉄板がおいしいということはずっと昔から知っていたので。自信を持っておススメできるものを作りたいという気持ちから生まれたのが、このミガキ鉄板です」

 職人の技が生み出す鉄板。熱が伝わりやすく、さらに蓄熱にも優れていることから、本格的な料理が楽しめるとたちまち話題に。毎月250枚を販売する人気商品になりました。

 ミガキ鉄板の種類はサイズや厚さが異なる9種類。中でも1番小さいサイズのものは、スマートフォンと並べてもほぼ変わらない大きさです。

セイコーの村下さん:
「買ってくれたお客さんがYouTubeや口コミで広めていただいたのが大きいかなと。これからも色んな皆さんが喜んでくださる製品を作っていきたいと思っています」

 愛知に息づくモノづくりの底力を感じさせるミガキ鉄板。世界に誇れる一枚が、今日も職人の手で生み出されています。