新型コロナウイルスの感染拡大が一時期と比べ落ち着いてきている中、医療現場はどう変わったのか、最前線の方に聞きました。医師は「第5波は必ず来る」と警鐘を鳴らしています。

 話を伺ったのは、藤田医科大学病院の岩田充永副院長です。

Q.6月20日に緊急事態宣言が解除され、まん延防止措置に移行する見通しに。病院の現状は?

岩田副院長:
「(重症患者用ベッド)2週間前は40床だったのが、先週は30床で、今日は13床」

 藤田医科大病院で現在埋まっている重症者用のベッドは、2週間前と比べ半分以下の13床に。そのうち4人の退院がすでに決まっています。

岩田副院長:
「皆さんが色々耐えてくださった成果だと感じています。愛知県全体でも落ち着いてきていますし」

 出口が見えつつあるコロナウイルス「第4波」。完全に波を抑えるため、急ピッチで行われているのがワクチンの接種です。

 藤田医科大病院では、5月24日から豊明市や大府市、名古屋市などに住む65歳以上の高齢者の接種がスタート。さらに、自治体によっては64歳以下への接種も始まっています。

岩田副院長:
「大丈夫だと思ってもらうためのワクチンなんですけれども、早く打ってみんなが安心しても悪くないという風にしたいですよね」

 しかし、こうした状況を脅かそうとしている新たな不安材料もあります。危険な兆候はすでに見え始めていました。

岩田副院長:
「7月末くらいには、また第4波と同じかそれ以上の規模になってしまう。インド株のデルタ株ですね。感染力が第4波の主流になったイギリス型・アルファ株よりもさらに強いと。『第5波』というのは必ずやってくる」

 岩田副院長が、第5波を引き起こすという新たな脅威。それはインドで最初に確認された変異株「デルタ」です。感染力が従来のウイルスと比べ1.5倍以上とも言われています。

岩田副院長:
「ワクチンが広がるスピードよりも早く置き換わってしまったら、7月末くらいにはまた第4波と同じかそれ以上の規模になってしまうと。ワクチンとデルタ株の時間との競争になる」

 ワクチンの有効性は高いとされていますが、瞬く間に拡大することが危惧されています。

岩田副院長:
「ワクチンの効果は2回接種して、2週間経ってから。1回では残念ながら数十%程度の効果、2回打って95%までという。国民の60%くらいの方の接種が終わらないと集団免疫というのは成立しない」

 デルタ株が広がるのが先か、ワクチン2回接種が先か…まさに「スピード勝負」だといいます。

 また、そんな中、愛知県に出されている緊急事態宣言が6月20日に解除され、まん延防止措置に移行する見込みです。この状況に岩田先生は、改めて感染対策の徹底とワクチンに対する正しい知識が必要だと話します。

Q.ワクチンを打ったからと気が緩んでしまわないか

岩田副院長:
「不織布マスクでもちょっと鼻が出てたりすると、マスクをしていたのにわずかな隙をついて感染するというのは、わずかな隙すら許してくれないくらい感染力が強い。不織布マスクを着けていただいて、わずかな隙も作らないという注意を引き続き払っていただきたい」
※動画の一部は藤田学園提供
※画像は国立感染症研究所提供