解除は「妥当」…医師「コロナが“インフル並み”となるゴール見えてきた」一方で元の生活に戻れない患者も
9月30日に解除される見通しとなった緊急事態宣言について、医療現場では「ゴールが見えてきた」としつつも、引き続き感染対策の徹底を呼びかけています。最前線の医療現場ではどう受け止められているのか、藤田医科大学病院の副院長に話を聞きました。
Q.緊急事態宣言の解除に向けた動きについて、医療現場での受け止めは?
藤田医科大学病院の岩田副院長:
「市民の皆さんに何らかの我慢を強いるものですから。これだけ感染の状況が落ち着いてきたのであれば、解除は妥当だと思います」
「解除は妥当」と話すのは、藤田医科大学病院の岩田充永副院長です。
東海3県の新規感染者は、9月に入ると減少傾向が続いています。重症者数は9月中旬をピークに宣言の目安となる「ステージ4」の水準を下回り、同じく病床使用率も50%を切って下がりつつあります。
藤田医科大学病院でも新しく入院する人は減ってきていて、27日朝の時点で入院患者は14人。ピーク時は50人近くで、約3分の1になっているということです。
医療体制も少しずつ余裕を取り戻し始め、コロナ以外の治療に人を割けるようになってきたといいます。
今回の第5波では、ワクチン接種が進んだことに加え、新たに「抗体カクテル療法」が導入されたことで死者が減ったと指摘しています。ワクチンを接種した人の「ブレイクスルー感染」があっても、ほとんどが軽症や無症状で、コロナとの付き合い方が見えてきたとしています。
岩田副院長:
「抗体カクテル療法やワクチンに加えて、おそらく飲み薬で重症化を防ぐ薬が年内には使用可能になる。コロナがいわゆるインフルエンザ並みの感染症として、付き合っていくゴールを考える段階にきたのではないかと」
しかしインフルエンザとは違い、岩田副院長も「怖い」と指摘する点もあります。
岩田副院長:
「ものすごく元気な人が予期せぬ重症化して、人工呼吸器から離脱できないとか、コロナにかかる以前の生活に戻れない人が一定数はいるというのが、本当にコロナウイルス感染症の怖いところ」
「元の生活に戻れない…」藤田医科大学では現在、40代と50代の4人がコロナの隔離期間を終えてもなお、人工呼吸器やECMOを外せず治療が続いているといいます。
だからこそ、今回の緊急事態宣言解除でも、段階的に規制を緩和してほしいと訴えます。
岩田副院長:
「例えば少人数の会食。家族だけの旅行はOKですよと、『大人数の宴会はもう少し待ちましょうね』と。『次の波を小さくしましょうね』というメッセージが伝わる宣言解除であってほしいなと」
コロナウイルスが活発になるこれからの季節、感染対策の徹底は引き続き必要です。