「年金=杜撰」…。イメージの払拭はいつになったらできるのでしょうか。日本年金機構が、他人の情報が記載された通知書を送っていた問題で、年金事務所には説明を求める人が訪れていました。

80代の男性:
「間違えたからって済むような簡単なことじゃないでしょう」

70代の男性:
「これ、めちゃくちゃええ加減じゃない。これで生きとる人たくさんおるでしょう」

70代の女性:
「もう誰一人、誰も信用しない」

 誤った内容の年金通知を受け取った受給者から聞かれた憤りの声…。

 日本年金機構が10月に発送した「年金振込通知書」のうち、愛知県、三重県、福岡県の受給者に宛てたおよそ97万件で、送付先とは別人の基礎年金番号や受給額が記載されていました。

後藤厚労相:
「厚生労働省としても、引き続きしっかりと指導・監督をしてまいりたい。(岸田首相から)『事案の究明や今後の体制整備、不安になられた国民への対応について、遺漏なくしっかり取り組むように』というご指示を受けています。私からも、深くお詫びを申し上げたいと思います」

 就任早々、記者団の前で陳謝することになった後藤厚生労働大臣。大臣を巻き込んだ通知ミスに、名古屋市昭和区の年金事務所には、6日に続いて多くの受給者が説明を求めて訪れていました。

 この年金事務所への問い合わせは、一日で350人以上。対応に追われました。

 昭和区で暮らす宮嵜正衛さん、73歳。奥さんと二人、年金で暮らしています。

宮嵜さん:
「これが昨日届いてびっくりした。中身なんですけど、宛先は私になっていて」

 6日、外出先から戻ると、年金機構からの通知が届いていました。

宮嵜さん:
「毎回もらう案内だなと思って中を開いてみたら、全然通常の金額と違っている。(振込額が)通常もらっている分の5分の3くらいだった。大幅に金額が少ないからおかしいなと思って他も詳しく見たら、振込銀行も聞いたことない銀行がついているし、基礎年金番号も自分のと全然違う番号になっていた。

妻のは逆に増えていたんです。介護保険は私のほうが多いんですよ、毎月ね。(通知書では)介護保険は私が1万3600円で、女房が1万4000円。あれ?なんで女房の介護保険が増えたんだ?と。『あんたってこんなにもらってたかい?』という話になって」

 介護保険料の違いを見つけた宮嵜さん。よく見ると住民税や振込額、さらには振込先から基礎年金番号まで別人のものでした。

 過去にも「消えた年金問題」など、不祥事が相次いだ日本の公的年金。

宮嵜さん:
「年金機構そのものが、過去にいろんなトラブルがあったじゃないですか。皆さんの将来の年金もそうだと思うんですけど、こんな管理のところが、国民の年金の管理をちゃんとやってくれるのかどうか、その不信感は募るばかりですね」

 ミスのあった年金通知…。日本年金機構は印刷から発送までを岐阜県内の印刷業者に委託していて、記載される情報は機構から印刷会社にデータで送られていました。

 請け負った印刷会社は誤った情報が記載されたことについて、宛名と内側の情報の組み合わせがズレてしまった印刷ミスと説明していて、「あってはならないことだと思うので、深くお詫びを申し上げたい」とコメントしています。

 今回の誤送付について、日本年金機構は正しいものを再送することにしていて、誤ったものは破棄するか返送するよう呼びかけています。

 また支給額に影響はなく、10月15日には正しい額が支払われるということです。

 年金機構は専用ダイヤルを開設して、問い合わせに応じています。

※問合せダイヤル:0120-002730