愛知県では県独自の厳重警戒宣言が解除されておよそ3週間が経ちました。名古屋の歓楽街・錦三の飲食店に客足は戻ってきているのか取材しました。

鳥勢の女将:
「もうどのくらいぶりなんでしょう。本当に久しぶりだったので。本当にこのまま戻ってもらえると嬉しいです」

 本当に久しぶり…笑みを浮かべて話すのは、名古屋・錦三の焼き鳥店「鳥勢」の女将・伊藤綾野さん。

 活気の戻ってきた店で、忙しく接客に当たります。

 店は愛知県の時短要請が解除された10月18日から通常営業に戻りました。営業時間は夜の11時まで、もちろんお酒も楽しめます。

 今年5月に取材した際は緊急事態宣言下で、店内は閑散とし、客はわずかに一組。ビールサーバーの注ぎ口はラップで塞がれていました。

 そのビールサーバは、客の注文に答えジョッキになみなみと注がれていました。

鳥勢の女将:
「緊急事態宣言が明けてから生樽を1日1つ発注だったのが、今は3つ4つ発注しています。ありがたいです、本当に」

 ついつい酒が進む自慢の焼き鳥。徐々に仕入れを増やしてはいるものの、用意した串の中には品切れになるものも…。嬉しい誤算です。

 人出が増えたことはデータにも表れています。ソフトバンクのグループ会社「Agoop」がスマートフォンの位置情報などをもとに人の流れを分析したデータによると、愛知県の厳重警戒宣言が解除された週の金曜日10月22日と2週間後の金曜日11月5日を比べると、およそ5%増えていました。

 街にはネオンの明かりが華やかに灯り、送迎や客待ちのタクシーも増えていました。

帰宅する人:
「(集まって飲むのは)一年ぶりくらいですかね。集まって飲めるのは、めちゃめちゃ嬉しいです」

店をはしごする人:
「それなりに家で自粛生活をしていたので、やっぱり飲みに行く頻度は減らしていて、今ここ最近名古屋が(感染者)数人程度だったので、今なら大丈夫かなっていう感じで」

 徐々に人が戻りつつある夜の繁華街。しかし、全てが元通り…というわけではありません。

 飲食店が集まるビルの一室で営業するBAR「ROCKET」。営業時間は夕方6時から深夜3時まで。いわゆる2軒目として訪れる客が多いお店です。

 訪ねたのは午後11時過ぎ。にもかかわらず、店内にお客さんの姿はありませんでした。

BAR「ROCKET」のオーナー:
「最終電車で帰られるお客様とか多いので、深夜までという流れがなかなかまだ少ないかなとは思っています」

 深夜までの営業をようやく再開させましたが、宣言下にあったころとほとんど客の数は変わっていません。

BAR「ROCKET」のオーナー:
「一回最終電車で皆さん帰られて、そこからは夜仕事されている方たちが寄っていただけるっていう感じになっていると思います」

 出かけても一軒目で済ませて早めに家路につく人が多く、以前のような忙しさを取り戻すまでにはまだ時間がかかりそうです。

 県独自の厳重警戒宣言が解除されてから3週間、再び感染が広がらないようにお店もお客さんも慎重。それでも、師走に向けて夜の繁華街には活気が戻りつつあるようです。