線路や橋梁の確認や救援物資の運搬も…空から素早い災害対応実現へ 各地でドローンを活用する実証実験
17日、名古屋市内を走る名鉄の路線で、災害時の鉄道被害を想定したドローン撮影の実験が行われました。
名鉄築港線・大江駅の横から飛び立ったドローン。その機体には、自由自在に向きを変えられる高性能カメラが取り付けられています。
操縦しているのは社内で研修を受けた鉄道マンで、撮影の対象は線路。台風による倒木や大雨による土砂崩れなどの災害で、線路が被害を受けたという想定です。
映像はリアルタイムで地上のモニターにも映し出され、線路の保守担当者も状況を確認できます。
これまで作業員が目視で行っていた点検。ドローンを使うことで、いち早く効率的な作業が可能になり、名鉄は来年度から実用化に向けて導入する方向で調整しています。
人命救助や災害復旧に欠かせない空からの情報収集。東海3県の各地でも、実用化を目指す実証実験が積極的に行われてます。
岐阜県美濃加茂市で行われた豪雨災害を想定した実験。木曽川の河川敷に降りてきたのは、ドローンではなくヘリコプターです。
災害時における救援物資などの輸送はヘリコプターの重要な任務の一つ。そのヘリコプターから降ろされたのはドローンです。
河川敷に直径1メートルほどの赤いマットを引き、離陸の準備を整えます。そのドローンに載せるのは、救援物資を想定したペットボトルの水や救急セットで、重さは2キロほどあります。
美濃加茂市と名古屋鉄道、それに中日本航空が行った木曽川の氾濫を想定した実証実験。ヘリコプターが着陸できない場所に、ドローンで物資を届ける2段階の輸送を想定しています。
建物の屋上など小さなスペースでも着陸できるのがドローンの強み。実験で使用したドローンは、最大6キロまでの荷物を運ぶことができるということです。
実験は物資輸送以外にも…。
今回の実験で実際にドローンが撮影した映像、対象の橋に近づきさらにカメラで200倍まで拡大します。すると橋脚のボルトなど細かく確認することができます。
映像は、現場から2キロ離れた美濃加茂市役所の災害対策本部にもリアルタイムで送信されます。
対策本部で映像を見ながら被害状況の確認ができ、情報の共有は素早い対応を可能にします。
美濃加茂市役所土木課の担当者:
「初動調査の時に、川の護岸や橋梁が映像のぶれがなく細かいところまで見られたのは、災害対策本部で策を練るのに活用できる」
空からの災害対応。ドローンは私たちの暮らしに必要不可欠な存在になりつつあります。