名古屋名物の和菓子「納屋橋まんじゅう」の本社と工場が来年1月10日に取り壊されることが決まりました。

 甘酒の香りがほのかに漂う生地に、こしあんが詰まった「納屋橋まんじゅう」。およそ150年愛され続ける名古屋の銘菓ですが…。

(リポート)
「中区大須の『万松庵』の入り口には、納屋橋まんじゅうが来年1月10日で製造販売を中止するというお知らせが貼られています」

 この名古屋名物が姿を消してしまうかもしれないのです。

 納屋橋まんじゅうのルーツは、明治19年・1886年創業の和菓子店「伊勢屋」。

 大正2年・1913年に納屋橋が改築された際、渡り初めの儀式にこの店の夫婦が参列。以来、屋号を「納屋橋饅頭」と改め、名古屋の人々に親しまれてきました。

 大正8年・1919年にのれん分けされ、中区に「万松庵」がオープン。しかし、長く愛され続けてきた納屋橋饅頭も、5年前の2016年に「本店」が長期休業に入ると、今年3月には東区の「平田町分店」も廃業・閉店。

 唯一残った万松庵では、名物の納屋橋まんじゅうの他に温度によって違う食感が楽しめる「納屋橋キューブ」を販売するなど、若い人たち向けにも新商品を出していました。

 しかし来年の1月10日をもって、製造・販売が中止に…。

(リポート)
「(製造販売中止のお知らせを読んで)製造・販売中止する理由としましては、工場の老朽化で衛生面・安全面・環境面において自信をもって製造販売をすることができなくなったとしています」

 1977年から稼働している工場が老朽化したため、来年1月10日を最後に本社と工場を取り壊すことが決まりました。

 この知らせを聞きつけ、店には続々とお客さんが…。

訪れた客:
「(最初)『売り切れです』って言われたけど、奥から『できました』って。グッドタイミングでした。ほそぼそとでもいいから味は残しておいてほしいですね」

別の客:
「食べられなくなるかもって思ったら食べなくちゃ!と思って。残念なので、ぜひとも復活をという気持ちはありますけど」

 万松庵によりますと、工場が取り壊されたあと、製造・販売の再開などについては未定だということです。