大臣が社長を“呼び出し”…全線着工の見通し立たないリニア 国交省が異例の口頭指導「地元の不安払拭を」
静岡県側の反発で、全線着工の見通しが立っていない「リニア中央新幹線」で21日午後、国土交通省がJR東海に対して、地元の不安を払拭するよう異例の口頭指導をしました。
未だ全線着工ができていないリニア中央新幹線。21日午後4時、斉藤国土交通大臣にJR東海の金子社長が呼び出されました。
大臣自らがJR東海に「異例の口頭指導」をしたその内容は…。
斉藤国交相:
「大井川の水利用をめぐる歴史的な経緯や、地域の方々のこれまでの取り組みを踏まえ、地域の不安や懸念が払拭されるよう真摯な対応を継続すべきである」
南アルプスを貫き、品川・名古屋間の285.6キロを40分で結ぶリニア中央新幹線。
しかし、トンネル建設で大井川の流量が減ることを懸念した静岡県の反発で、11キロの区間の着工の目途は全く立っていません。
“行司役”となる国の有識者会議は19日、中間報告で「トンネル工事で出る湧水の全量を大井川に戻せば中下流域の流量は維持できる」とし、地下水についても「影響は極めて小さい」とJR東海の主張を追認しました。
その一方で、21日JR東海に対しては、「地域住民の不安を払拭するよう真摯な対応を求める」異例の口頭指導となったのです。
斉藤国交相:
「地域の皆さまの理解と協力が何にもまして不可欠です。そのことに強く理解をいただき、真摯に事業を進めていっていただきたい」
JR東海の金子社長:
「内容にいろいろ私たちに対する要請の事項も含まれておりますので、しっかり真摯に対応してまいりたいと思っております」
JR東海の見解を一部認めた代わりに、静岡県側への理解を強く求めた国交省。はたして、リニア着工問題の解決となるのでしょうか。