来年から“18歳成人式”…反対署名集めた高校生「渡した時も『嫌な事を耐えて大人』と」決めた市長の真意は
成人式といえば「20歳」ですが、ことし4月からの成人年齢引き下げで、来年以降、三重県伊賀市では「18歳での成人式」になります。全国に先駆けた動きに、地元の高校生からは反対の声も上がっています。
晴れ着姿で同級生との再会を楽しむ若者たち。9日、伊賀市内で開かれた成人式の様子です。
この成人式、来年から伊賀市では18歳となります。ことし4月の改正民法施行で18歳に引き下がる成人年齢。これを受け、伊賀市では来年から成人式も「18歳での開催」とすることを決めたのです。
全国に先駆けた18歳成人式への方針転換。今後成人式を迎える伊賀市の高校生は…。
高校2年の女子生徒(17):
「20歳でやってほしい。(高校卒業後)もうちょっと期間を空けてから友達と久しぶりに会いたい」
高校3年の男子生徒(18):
「二十歳の方がお酒も。成人式が終わってからの楽しみが少なくなるというのはあんまり面白くないかなって」
20歳の節目に友人同士で集まることを楽しみにしている人も多い成人式。18歳開催への変更には戸惑いもあるようです。
伊賀市の20歳・東勢巴那さんと高校3年生の妹・己葉さん(18)。巴那さんの成人式はことし。一方、己葉さんは「18歳」移行初年度の来年、19歳という中途半端な年齢で迎えます。
己葉さん(18):
「私の通っている高校が、名張市とか亀山市の子が結構いて、その子たちは普通に(成人式が)20歳なので、私たちだけ違うっていうのはちょっとおかしいんじゃないのと思って」
伊賀市のみの18歳成人式に戸惑いと疑問を抱いた己葉さん。同じ考えの高校生が他にもいることを知り、これまで通りの開催に戻そうと署名活動を始めました。
集まった署名は半年間で7500人分。去年10月、要望書とともに市長に直接手渡しましたが…。
己葉さん(18):
「この小さな市で7500筆って結構大きいと思うし、それでも市長には『数じゃない』と言われてしまったので。『これが大人になること』みたいな、『嫌なこと辛いことがあっても、それを耐えて大人』みたいなことを言われたんですけど」
集めた署名もむなしく、要望は聞いてもらえず。18歳成人式を決めた市長は…。
岡本伊賀市長:
「自覚を促していかなければいけないなと。(18歳で成人なのに)20歳で成人式をしてほしいというと、じゃあその18歳から20歳までの2年間はなんなの?って。どうしても20歳でやりたいのであれば、『20歳の集い』をその人たちが実行委員会を作ってやればいいじゃないですかと。そのときには会場の手当てとか、情報の提供をしましょうと」
伊賀市で最後となる「20歳」の成人式。会場には、己葉さん姉妹の姿もありました。
巴那さん(20):
「久しぶりに友達にも会えて、めっちゃハッピーで嬉しいです。大人になったとかそういう感じじゃないんですけど、なんかソワソワしてめっちゃ楽しみにしてました」
楽しそうな晴れ着姿の姉…。その様子を見守る己葉さんの胸中は複雑です。
己葉さん(18):
「友達に会えてハッピーって言ってましたけど、本当にそれだけの理由でいいんじゃないかなと私は思うので、そういうものだと思っているので、成人式は」
「18歳成人式」をめぐり反対運動も起きている伊賀市ですが、2022年は「20歳の人」が成人式を迎えました。
来年・2023年からは「18歳で成人式」となるため、このままだと、次に20歳・19歳となる人は移行の狭間に取り残されてしまいます。
このため、伊賀市は移行措置として来年のみ、来年1月に「新・20歳」、3月に「新・19歳」、そして5月に「新成人・18歳」と、3回に分けて開催するとしています。