歴史小説の「黒牢城」で直木賞を受賞した米澤穂信さんは大学を卒業後、故郷・高山市の書店でアルバイトをし、デビュー20年で大賞をつかみました。

 米澤さんの地元・高山市。市内の書店には、早速「祝・直木賞受賞」のコーナーが。

三洋堂書店 高山店の店長:
「すごく感動しております。多大に高山市に貢献してくださっている方だと思います」

 19日の「直木賞」選考会後の記者会見。

選考委員の浅田次郎さん:
「米澤穂信さんの『黒牢城』が受賞ということになりました」

 直木賞を受賞したのは、岐阜県高山市出身の米澤穂信さん(43)。19日の記者会見も緊張した面持ちでした。

 米沢さんは地元・斐太高校を卒業すると、金沢大学に進学。その後、故郷・高山に戻り、書店でアルバイトをしながら作家を志し、2001年に母校をモデルにした小説「氷菓」でデビューしました。

米澤穂信さん:
「私は岐阜県の中でも飛騨の生まれです。恐らく私の記憶が間違っていなければ、飛騨でこの賞をいただくのは初めてではないかと思うんですけども」

 今回受賞作となった「黒牢城」は、戦国時代に織田信長に背き、籠城戦を仕掛けた荒木村重が、敵方の黒田官兵衛に助言を求め、城で起きた数々の怪事件の謎を解いていくという物語です。

選考委員の浅田次郎さん:
「(戦国時代の)籠城戦を背景とした戦国ミステリー、良質なミステリーであると、極めてユニークな作品であろうと。作品が読みやすい、セリフがうまい」

 今回の直木賞受賞に、米澤さんが働いていた高山市の書店の店長は…。

三洋堂書店 高山店の店長:
「2年こちらで働いてくださっていたんですけども、1年は(同僚の)皆さんに作家活動していることをおっしゃられなかったみたいでして。地道に作家活動をされていたみたいで。レジのカウンターの中で、ご自分の小説の構想を練っていた時もあったらしくて」

 今回の受賞に米澤さんは…。

米澤穂信さん:
「何とか良い小説を書いていきたいとそう思っていました。この賞をいただいたことを、ここまでは間違っていなかったんだよというメッセージと受け止め、次の仕事を始めていきたいと思っています」