第94回選抜高校野球大会に出場する広陵高校(広島)に、特別な思いを持って指導するコーチがいる。中井哲之監督(59)の長男で副部長の惇一さん(27)だ。

 高校は、父が監督を務める同校の野球部へ。親子ではなく、監督と一部員として必死に野球に打ちこんだ。

「高3の夏が終わってから、人間的に大きく成長させてもらった高校野球に今後も携わりたい。広陵の伝統を後輩たちに繋いでいきたいと思うようになった」と話す惇一さんは高校卒業後、愛知・中京大学硬式野球部で学生コーチを務め、教員免許を取得。2017年、広陵高校に副部長として戻った。

 指導する上で大切にしているのは、選手と同じ目線に立つこと。「広陵での野球を通して、感謝の心を持ち、周りの人を大切にできる人間になって欲しい」という思いで指導にあたる。

 そんな中井副部長は「甲子園で野球ができることに感謝し、全国の方に勇気と感動を与えられるような試合がしたい」と選手一丸となって選抜に挑む。

 レンジャーズの有原航平投手や、巨人の小林誠司選手、DeNAの佐野恵太選手など、数多くのプロ野球選手を輩出し、昨年の神宮大会で準優勝した広陵高校。2003年以来の春の日本一を目指す。