岐阜県中津川市で9月11日、救急車が出動先を誤り、本来2分で辿り着く患者のもとに19分かかり、到着後、男性は死亡しました。

<通報者>
「男性が屋外で倒れている。呼びかけに反応しない。呼吸はある」

 11日午前6時半ごろ、岐阜県の中津川市消防本部に、80代の男性の救急搬送を求める119番通報が入りました。

 本部からの指令で、北消防署加子母分署から救急隊が出動。男性のいる場所には2分ほどで到着するはずでした。しかし、救急隊が男性のもとに到着するまでにかかった時間は19分。

 通常は出動する場所を間違えることは起こり得ませんが、デジタル機器を使用する際の落とし穴がありました。

 消防によると、通報があったのは午前6時34分。男性の家族から頼まれ、別の場所にいた人が携帯電話から通報しました。

 通信指令で男性がいる現場の住所を確認し、5分後には救急隊が出動しましたが、向かったのは“通報した人の自宅”。そこに男性はいません。

 通報者から「救急車が自宅近くに来ている」と再度連絡があったことでミスが発覚し、正しい現場に到着したのは出動から19分後の午前6時58分、すでに心肺停止の状態で、病院に搬送後に死亡が確認されました。

 命を救う現場で起きた痛恨のミス。中津川市消防本部に通報から現場到着までのシステムを取材しました。

 119番通報を受ける通信指令室。携帯電話から通報が入ると、GPSでおおよその場所を特定し、救急車両を出動させるまでの時間を短縮させることに役立てています。しかし…。

中津川市消防本部の林消防司令長:
「(通報者から)お話を聞いている間に、別の所に傷病者の方がみえるということを確認しましたので、地図を更新して出動隊に正しい地図情報を指令所として送る予定だったんですが、地図の更新をしたと思い込んでおりまして、更新しない状態での指令を流してしまった」

 今回は通報で聞き取った「患者がいる場所」に地図を更新せず、誤った地図を元に救急隊が向かってしまったということです。

 今回のケースでは、通報場所も出動場所も同じ地名だったこともミスを生んだ原因の1つとみられていますが、「位置情報システム」では電波状況などによって誤差が出ることもあり、最終的には人間のチェックが必要です。

 救急車の遅れと男性の死亡との因果関係はわかっていませんが、男性の遺族は12日午後、取材に対し「遅れたことと父の命に、関係ないと思っています」と話しました。

中津川市消防本部の佐藤消防長:
「改めて職員には操作のマニュアルを再度徹底させていくように指導していきたいと考えております」