岐阜県高山市の山中にモーターグライダーが墜落した事故。26日は一旦救助活動は打ち切られていましたが、27日、機内で男性2人が死亡しているのが見つかりました。

 山に囲まれた森の中で静かに横たわるグライダー。26日、高山市の飛行場「飛騨エアパーク」から飛び立ったモーターグライダーです。

 エアパークによりますと、グライダーは26日正午前、乗鞍や立山の上空を経由する2時間ほどの訓練飛行に出発。しかし予定の時間になっても目的地に到着せず、捜索にあたった自衛隊のヘリコプターが、エアパークから南東におよそ20キロ離れた高山市高根町の山中で墜落した機体を見つけました。

 26日一旦打ち切られた救助は、27日朝から再開。警察は午後、グライダーに乗っていた操縦士の山田正勝さん(80)と日下部直人さん(61)が、遺体で見つかったと発表しました。

 飛騨エアパークによると、80歳の山田さんはパークを10年以上利用しているというベテランの操縦士。26日も体調などに変わった様子はなかったといいます。

 年々、グライダーを操るその腕は磨いていたものとみられますが、操縦に年齢の制限などはないものなのでしょうか。

 国土交通省によると、グライダー操縦の免許取得に年齢の上限はなく、16歳以上であれば原則誰でも取得が可能。

 取得後は、視力や聴力が飛行に耐えられる状態かを調べる「航空身体検査」を年に1度、実技も伴う「特定操縦技能審査」を2年に1度受ける必要がありますが、山田さんは直近の検査はパスしていたといいます。

 エアパークの職員によると、7年前にも乗鞍岳でグライダーが不時着するトラブルに見舞われていたという山田さん。幸い、同乗者も含めてケガはありませんでした。

 空の怖さをしっかり理解しているからでしょうか、機体の点検は入念で、26日も1時間ほどかけてチェックしていたといいます。

 山田さんから操縦の指導を受けていたという男性は…。

山田さんから指導を受けた男性:
「優しい方で一生懸命やっていらっしゃる方です。グライダーですので気流の影響をたくさん受けますし、そういったところに対する安全面の対応の数値等については、口を酸っぱくしてご指導いただいています」

 国の運輸安全委員会は27日午後3時半ごろ、事故調査官2人を「飛騨エアパーク」に派遣。関係者から話を聞くなど、墜落の原因調査を始めています。

運輸安全委員会事務局の航空事故調査官:
「天気自体はそんなに悪くなかったのではないかという話は聞いておりますけども、天気だけではなくて風の状況であるとか、まだこれから調べていって、関与したかどうかも含めて分析を進めてまいります」