国際芸術祭「あいちトリエンナーレ」を巡り、実行委員会が名古屋市に負担金の支払いを求めた裁判の控訴審で、名古屋高裁は全額の支払いを命じた1審判決を支持し、市側の控訴を棄却しました。

 3年前に開催された「あいちトリエンナーレ」の企画展「表現の不自由展・その後」では、慰安婦問題を象徴する少女像などが展示され、名古屋市は展示内容が不適切だったなどとして、負担金の一部およそ3380万円の支払いを拒否していました。

 2022年5月、一審の名古屋地裁は「『あいちトリエンナーレ』は公共事業ではなく、作品も名古屋市が主張するようなハラスメントというべきもの、違法なものとは断定できない」などとして全額支払いを命じ、市が控訴していました。

 2日の控訴審で名古屋高裁の松村徹裁判長は、全額の支払いを命じた1審判決を支持し、市側の訴えを退けました。

 判決を受け、名古屋市の河村市長は「とんでもない」と反発し、今後上告する意向を滲ませましたが、具体的には弁護士などと相談して対応を決めるとしています。

 一方、実行委員会の会長を務めた愛知県の大村知事は「妥当な判決だと受け止めています。名古屋市には負担金の支払いを速やかに行っていただきたい」とコメントしています。