将棋界最高峰のタイトル「竜王」の初防衛に成功した藤井聡太五冠は、これまで「望外の結果」や自身の立ち位置を「森林限界の手前」と表現するなど、独特な言葉でも話題になってきましたが、今回披露したのは「千思万考」でした。

 鹿児島県指宿市で行われた、竜王戦七番勝負の第6局。広瀬章人八段の挑戦を受けた藤井聡太五冠は、積極的な攻めを見せ113手で勝利。竜王のタイトル初防衛を果たしました。

 一夜明け披露した色紙には「千思万考(せんしばんこう)」の四文字。

藤井五冠:
「考える局面で、全て掘り下げて比較する事がなかなかできなかったところもあったので。“千思万考”というのは色々考えを巡らせること、そういったことを長い持ち時間の対局においては、意識していきたいと思いました」

 さらなる探求を目指す姿勢は、タイトル防衛を重ねても変わりません。

 藤井五冠の地元・愛知県瀬戸市でもファンが祝福。

瀬戸市民:
「竜王防衛ということで、本当にこんなに嬉しいことはないですね」

 おなじみとなった商店街の空き店舗を利用した「シャッター大盤」。実は…。

シャッター大盤運営の飯島さん:
「新しくお店が入る予定になっていて、一度この建物が取り壊しになったので、シャッター大盤は今回で最後」

 プロデビューの翌年、今とは別の店舗のシャッターで始まり、数々の快挙の瞬間を地元の人たちと共にした商店街のシンボルが、この日で最後。

シャッター大盤運営の飯島さん:
「いろんな方と出会いもあったし、ちょっと寂しい気持ちもあります。来年は羽生先生との王将戦が控えているので、それまでに次の場所をなんとか見つけて継続させたいなと思っています」

 その王将戦は、羽生善治九段と初めてタイトル戦で対決する、まさに将棋界のドリームマッチ。

藤井五冠:
「タイトル戦という大舞台で対戦できるのは、非常に楽しみにしています。(挑戦者を決める)王将リーグも6戦全勝という結果でしたし、内容もとても充実されている印象を持っています。しっかり状態を整えて臨めればと思っています」