生活スタイルに合わせ変化…端午の節句の『こいのぼり』伝統的なものの“便利屋さん”への設置依頼は年々減少
5月5日の端午の節句といえば「こいのぼり」です。マンション暮らしなど生活スタイルの変化に合わせ、こいのぼりも変化しています。
自宅にどんなこいのぼりを飾っているのか、名古屋市昭和区の鶴舞公園で街の人に聞きました。
街の人:
「子供が幼稚園とかで作ってきたものを毎年飾っているので。家に兜は出してあるので、その近くに立ててあります」
別の街の人:
「自宅がマンションなので、本当は空に優雅に泳がせるようなこいのぼりを飾りたいんですけど、なかなか難しいということで、自宅用の部屋に飾るタイプのこいのぼりを飾っています」
マンションに住む人は、大きなこいのぼりを飾るのはなかなか難しいようですが、それでも伝統的なシンボル。
創業およそ120年の、愛知県岡崎市のワタナベ鯉のぼりを訪ねました。
(リポート)
「こちらは伝統的な手書きの技法で作られた巨大な鯉なんですけれども、風に吹かれると、命が吹き込まれたような躍動感がありそうですね」
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5月5日直前までは、こいのぼりの出荷作業に追われるといいます。
ワタナベ鯉のぼりの社長:
「5m~6mとか、そういうのは全体の1割くらいなんですけれども、それに代わって今は小さいものですね、ベランダとかで上げるのはだいたい4割くらい。あとの5割くらいは、室内で飾るものが増えてきましたね」
5年ほど前からは、工夫を凝らした屋内用のコンパクトなこいのぼりが人気。
掛け軸型や屏風型もあります。どれも通常のこいのぼりと同じ伝統の本染め技法で命を吹き込まれ、生き生きとしています。
ワタナベ鯉のぼりの社長:
「こういう伝統的なものは、今後もやっぱり長く続いてほしいし、子供さんの喜ぶ姿を見ていただきたい。外で逆風に吹かれながらでも上がっていくたくましさを感じていただければ」
愛知県あま市の住宅では…。
母親の遥さん:
「玄関にタペストリーみたいなものは飾ってあるんですけど、外に(設置する)っていうのはなかなか(できない)」
夫と5歳の亮太くん、5カ月の向輝くんの息子2人と暮らす遥さん。これまでは、壁掛けタイプで過ごしてきましたが、2023年は初めて本格的なこいのぼりの設置を決めました。
遥さん:
「こいのぼりが夫の実家に眠っていたんですけど、もうちょっと『処分するよ』って言われて。せっかくだったら、まだ立てたこともなかったんですけど、立てようかなと」
少し年季を感じるこいのぼり。およそ30年前、夫が子供の頃に祖父から貰ったものです。
こいのぼりのポールは高さがおよそ6mもあることから、設置は困りごとを解決する“便利屋さん”「ベンリー」に頼むことにしました。
風に煽られても倒れないよう、基礎となる鉄柱をしっかりと庭に埋め込みます。
ベンリーによれば、こうしたこいのぼりの設置の依頼は、年々減っていて、愛知県では、最近は年に数件ほどだといいます。
ベンリーの担当者:
「文化を継承していくじゃないですけども、おじいちゃんおばあちゃんから受け継いで、こんな形でしっかりしたいというふうに思われて頼まれる方もいらっしゃいますし」
作業は1時間あまりで完了しました。早速風を受けて泳ぎます。
遥さん:
「こんなに大きかったんですね。すごい迫力もありますね」
設置から30分後、長男の亮太くんが保育園から帰ってきました。
亮太くん:
「高い。こんな大きいこいのぼり見たことなかったと思って、ビックリした」
特に、黒の「真鯉」が気に入ったようです。