名古屋港のシステムがサイバー攻撃を受け、コンテナの搬出入ができなくなっている問題では、現場では混乱が続いていますが、6日午後6時半までには作業が再開される見込みです。

 サイバー攻撃によるシステム障害が起きた名古屋港。6日正午になっても、コンテナの積み下ろし作業を待つトラックが長い列を作っていました。

 ターミナルからコンテナを運ぶ予定の運送会社のトラックのモニターには、午後3時前、約5時間この場所で停車していることが表示されていました。

 長い車列に巻き込まれ、5時間以上が経っても全く動きませんでした。

【動画で見る】トヨタが一部の拠点で7日の作業停止へ…サイバー攻撃でコンテナの搬出入滞る名古屋港

運送会社・マストアークスの川嶋さん:
「まったく微動だにしていないです。もう6時間以上は待ちぼうけという感じですね」

 この運送会社では6日朝、30台のトラックが出発しましたが、全て同じ状態だといいます。

運送会社・マストアークスの松下社長:
「(サイバー攻撃で)当初予定していたスケジュールが全て狂っていますので、コンテナもピック、いまだにできない状況ですし。大変ですよ、本当に疲弊している。1秒でも早く復旧してほしいです」

 4日午前6時半ごろに確認されたシステム障害。名古屋港にある5カ所全てのターミナルで、コンテナの積み下ろし作業が完全に停止しました。

 システムを運用する名古屋港運協会は当初、『6日午前8時半から積み下ろし作業を再開する』と発表していましたが、5日夜までの予定だったシステムの復旧が朝までかかり、6日も作業の再開ができない状態が続きました。

トラック運転手:
「運動してた、体が硬くて。本当に腰と足がパンパンです。僕は4時に並んでいましたね。今たまたまちょっと外に出てきて、耐えられなかったです」

 6日も続いた名古屋港の混乱。システムを運用する名古屋港運協会も対応に追われていました。

名古屋港運協会の担当者:
「(脅迫文に)データが暗号化されていますと表示がされていまして、復元するにはアクセスしてくださいと案内されているんですけど、そこは開かないようにしています」

 4日朝、サイバー攻撃が確認された名古屋港。システムを管理する施設でプリンターから脅迫文が印刷され、英語で「ランサムウェアに感染させ、データを暗号化した」という内容や、特定のURLにアクセスするよう要求する文言が書かれていたといいます。

名古屋港運協会の担当者:
「恐らくですけれども、無制限に(紙が)出てくるようになっているんだろうと思いますので、紙がある分出てきたような形で、実際には100枚程度と聞いています」

 ランサムウェアとは、機密情報のデータを暗号化し、その復元と引き換えに身代金を要求するサイバー攻撃。

 現場では夜を徹して復旧作業を続けましたが、サーバーのウイルスチェックなどに想像以上の時間がかかり、システムが復旧したのは6日午前7時半。

 しかし完全には復旧せず、バックアップしていたデータを手作業で入力する必要があり、当初6日朝としていた作業の再開は、大幅にずれ込んでいます。

名古屋港運協会の事務理事:
「怒り心頭なんですけれども、それによって困っている方もたくさんいらっしゃいますので、怒ってばかりはいられないので、最大限の努力をしていく」

 貨物の取扱量が21年連続日本一の名古屋港。少なくとも2万本のコンテナに作業の遅れが発生するという大きな影響が出ていますが、脅迫文には「ロックビット」という、ロシアを拠点とする世界最大級のハッカー集団の名前が書かれていました。

S&Jの三輪信雄社長:
「ロックビットは世界最大のランサムウェアグループでありながら、一度も摘発されていないんですね。そういう意味では非常に高度な技術を持っていて、組織が非常に複雑なんだと思います」

 今回のサイバー攻撃では、名古屋港のセキュリティ体制にも問題があったと指摘します。

S&Jの三輪信雄社長:
「重要インフラらしくないですね。金融と同じくらい、もしくはそれ以上の意識をもってセキュリティ対策をすべきなんです。ランサムウェアに限らずシステム障害は起きるので、障害(が起きた時)の準備においても課題はあったと思います」

 午後3時過ぎになり、1カ所のターミナルがようやく作業を再開。ほかの4か所はまだ再開できていませんが、運営する協会は、6日午後6時半までに再開する見込みと発表しています。

 名古屋港は自動車関連の部品などを多く扱っていて、この影響でトヨタ自動車は
7日、輸出向け部品の梱包作業を行う愛知県内の物流センターなど、4カ所の稼働を停止すると発表しています。