台風13号は、発生してからの進路予測が難しく気象予報士でもかなり頭を悩ませる台風だったといいます。「なぜ」予想しづらい台風なのかを専門家に話を聞いたところ、ポイントは「偏西風」だといいます。

 台風13号は、上陸する前に熱帯低気圧に変わる見込みです。東海3県は9日にかけて、1時間あたりの雨量が三重県で25ミリ、愛知と岐阜で20ミリと予想されていて、どしゃ降りになるところもありそうです。

 8日の午後3時までの24時間に降った雨の量は、一番多い三重県熊野市の42.5ミリというのはありますが、熊野市以外はいずれも25ミリ以下となっています。

 7日夕方時点では「警報級の大雨も」と予想されていましたが、今のところ東海3県に警報は出ていません。

 今回、関東地方に台風の被害が出ていますが、8日朝に福島気象予報士に聞いたところ「予想が非常に難しい台風だった」とのことです。発生してからの進路予測が難しく、気象予報士でもかなり頭を悩ませる台風だったといいます。

【動画で見る】進路予想がなかなか当たらない…今年の台風はなぜ“予想しづらい”のか 専門家があげたポイント『偏西風』

 台風13号は「なぜ」予想しづらい台風なのか、三重大学で気象学を研究する立花義裕教授に話を聞いたところ、ポイントは「偏西風」だといいます。

立花教授:
「偏西風は普通は日本付近を吹いていて、(台風は)それに流されるので素直な経路を通るんですけども、今年は北海道よりもはるか北に偏西風が流れている。ですので、偏西風より南の風はよどんでいるので、どの台風も予想進路がなかなか当たらない」

 偏西風は例年はまっすぐ吹いていて、偏西風より北は寒く、南は暑い空気に覆われます。

 台風も偏西風の流れに乗って進んでいきますが、2023年は偏西風が蛇行していて、いつもより北側で吹いています。これにより、日本に高気圧が入りこみやすくなったということです。これは2023年の夏の暑さの原因でもあります。

 偏西風が日本から遠い北側で吹いているので、日本付近は風が弱くなっています。台風は自分で動く力がなく微妙な風でも流されてしまいます。そうすると、ふらふらと動いて、さらに動きも遅くなり、予想が難しいということになります。

 さらに台風は高気圧を避けて動きます。偏西風も吹かず、高気圧も邪魔するということで、いつまでもウロウロしたりといった予測が出来ない動きをしてしまうということです。

 北極と赤道の温度差があると偏西風はまっすぐ強く吹きますが、今は温暖化で北極も気温が上がっているため、赤道との温度差が小さくなっているので蛇行しているということです。

 今後も予想しづらい台風が増えるのでしょうか。立花教授によると「9月以降も台風は、発生数・日本に近づく確率ともに高い」「偏西風が南に下がって来るため変な動きはしづらい」とのことです。偏西風が日本に近いところにふくようになるため、「動きは読みやすくなる」と言います。

 一方で、海面水温が一番高いのは9月なので、大型の台風に注意が必要です。