市政100周年を迎える愛知県の一宮市役所から調査の依頼がありました。「平成7年に埋めたタイムカプセルを100周年を機に開封するにあたり、当時埋めた人を探してほしい」。

 探してみると、カプセルを埋めた38歳の女性が見つかり、タイムカプセルに入れたという当時小学6年の頃に書いた「26年後の一宮市を思い描いた作文」の未来予想図の一部が実現していました。

■探しても見つからず…26年前に埋めたタイムカプセルを埋めた人を探せ

 1921年に中島郡一宮町が一宮市となり、今年市政100周年を迎える一宮市。記念事業として、26年前に埋めたタイムカプセルを掘り起こすイベントが7月11日に行われました。

【画像20枚で見る】小6がタイムカプセルに「26年後の市を思い描いた作文」未来予想図の一部が現実に

しかしイベント前、広報誌などで呼びかけても、埋めたという人がなかなか見つからず困っていると、調査の依頼がありました。

一宮市役所の担当者:
「1人でも多くの(カプセルを埋めた)方に、開ける時に立ち会っていただければと…」

 タイムカプセルが埋められた「光明寺公園」。埋めたという場所にたつ石碑には、『平成7年11月3日、ここにカプセルを埋めました。開封は市政100周年を迎える西暦2021年に行います』と書かれていました。

 タイムカプセルの中には、子供たちが書いた「26年後の一宮市を思い描いた作文」や花の種が入れられたといいます。

■当時カプセル埋めた子供は現在アラフォー世代…聞き込みするも見つからず

 市政100年の節目に、過去、現在、未来の一宮を見据えるため、是が非でも埋めた人を探したい。そこでまず向かったのは、七夕祭りでもおなじみの駅前の商店街。当時埋めた子供たちは、現在40歳前後のはず。アラフォー世代に絞って聞きこみをします。

男性(45):
「聞いたことはないですね」

別の男性(30代):
「そういうのやったことないね。覚えがない」

女性(40代):
「全然知らない」

「小さい頃で記憶がない」という声もあり、アラフォー世代の皆さんには記憶は無いようです。

■年配の方への聞き込みで有力情報が…カプセルを埋めた人を探せ

 そこで作戦を変更。昔のことをよく知る年配の方に聞いてみました。

老舗の饅店の女性:
「主人の妹が教師をやっていまして、そのタイムカプセルを埋めたとかどうとか…」

 その女性に連絡を取ってもらいました。

同・女性:
「個人的に妹の家の庭かに埋めたらしいです。ごめんなさい。たまたまタイムカプセルの話題が…」

 個人的に埋めた別のタイムカプセルでした。気を取り直して再び調査を続けますが、年配の皆さんも誰も知りませんでした。

■地上戦がダメなら空中戦で…地元FM局から呼びかけ

 地上戦がダメなら空中戦で調査します。向かったのは、地元のラジオ局「FMいちのみや」。電波を使って呼びかける作戦です。突然の訪問でしたが、「短い時間であれば」と、呼びかけてくれることになりました。

<ラジオでの呼びかけ>
『平成7年に埋めたタイムカプセル。今、30代後半から40代前半くらい、心当たりある方いらっしゃったら、一宮市役所さんに連絡ください!』。

 電波を通して、一宮の皆さんに呼びかけます。

■予言の一部が当たる…当時小6の女性がタイムカプセルに書いて入れた「未来予想図」

 ラジオで呼びかけた日から4日後、市役所に埋めたという方から連絡が入りました。ラジオで知ったということではありませんでしたが、早速その方を訪ねました。

 連絡をくれたのは、武藤久美子さん(38)。当時小学6年生だった武藤さんは、作文を書いてカプセルに入れたといいます。

 26年前にカプセルに入れたという「2021年の今の一宮を想像して書いた作文」。手元にも残っているということで、見せてもらいました。

<作文『未来の一宮』の一部>
『未来の一宮。他の町から、もっとたくさんの人がきてもらうようにするには、一宮の街が強く印象に残るようにしなければなりません。駅ビルの中には、デパートの他に図書館や病院があったら便利だと思います。そして、もう1つ、温泉があるといいな』

 作文には、駅ビルに図書館と病院、温泉が出来ているのではという未来予想図が描かれていました。普段は車を使うことが多く、現在の駅ビルの様子を知らないという武藤さん。果たして、文集に書かれていた未来は実現しているのか確認するために、一緒に駅ビルに向かいます。

 一宮駅の駅ビルは9年前に建て替えられ立派になっていました。案内で確認すると、「5F一宮市立中央図書館」の文字があり、図書館ができるという予想は的中していました。中をのぞいてみると、46万冊も所蔵している巨大ライブラリーが…。

武藤さん:
「当時思っていた以上の立派な図書館だと思います。6年生で受験勉強もしていたので、便利のいいところに図書館があるとみんなが使えると思ったんだと思います」

「当時の自分に夢叶ったよって教えてあげたい」と武藤さん。四半世紀前に描いた未来予想図の一部が実現していました。

 武藤さんは、7月11日のイベントにも出席し、「タイムカプセルの中身がきれいに残っていて、26年前と同じ状態で嬉しかった。10年後、20年後もより素敵な一宮になっているといいな」と期待に胸を膨らませていました。