この週末、岐阜県を中心に襲った記録的な大雨が観測されました。下呂市では、飛騨川が増水した影響で道路が崩落したほか、浸水の被害が相次ぐなど、各地に大きな被害が出ています。

 傘も役に立たないほどの横殴りの大雨。13日金曜日からの雨量は、郡上市八幡町で514ミリに達するなど、岐阜県を中心にすでに平年の8月1カ月分を超える記録的な大雨になりました。

(リポート)
「下呂市の飛騨川です。現在、氾濫危険水位に達しています。濁流となっていまして大きな流木が次々と流れていき、川は荒れています。急激な流れです」

【画像20枚で見る】岐阜を中心に襲った記録的な大雨 飛騨川が増水し国道やJR線路等に大きな被害

 下呂市萩原町を流れる飛騨川が増水。14日午後5時ごろ、近くに住む男性が自宅の3階から撮影した映像には、作業員が安全確認などをする中、目を疑う光景が…。

動画の撮影者:
「あ!(信号機が)落ちた!」

 突然地面が崩れ、信号機が落下。国道41号線の護岸が川の流れで削られ、歩道がおよそ100メートルにわたり崩れ落ちました。

 少し離れた小坂町の国道41号線。

(リポート)
「飛騨川の増水によって、先月復旧したばかりの国道41号線の護岸が再び崩れています」

 去年7月の豪雨で、およそ500メートルにわたって護岸が崩れた場所。7月28日、およそ1年の工事を終え全面復旧したばかりでした。

 記録的大雨の被害は、東濃地方でも…。

(リポート)
「こちら(住宅の)裏山が崩れ、大量の土砂が一気に屋根を突き破り、中へと流れていったということです」

 14日未明、恵那市岩村町の住宅には、裏山が崩れ土砂が流れ込む被害が。

住民の男性:
「水が流れてきたなと思ってみていて、そしたらドーンと音がしてドッと来た。(土砂の高さは)このくらい(腰くらい)あったね」

 また瑞浪市では、近くを流れる川が溢れ、一部の住宅では床上浸水しました。

住民の女性:
「神様、仏様、なんとか雨を収めてくださいって、私どんだけ拝んだか…」

 岐阜県内ではこれまでに、恵那市や瑞浪市など6市町で、床上浸水18件、床下浸水55件の被害が確認されています。

 被害は鉄道にも及びました。多治見市のJR中央線「古虎渓駅」では、崩れた土砂が線路上に流入しました。重機による撤去作業が続いていますが、復旧の目処は立っておらず、現在も高蔵寺から塩尻の区間で運転を見合わせています。

(リポート)
「美濃加茂市の太田地区です。奥にあるのは畑なんですが、一面浸かってしまっています。見えません」

 記録的大雨で、美濃加茂市を流れる木曽川の支流・加茂川の水があふれだす事態になりました。美濃加茂市や隣の坂祝町の一部地域で、最も危険度が高い警戒レベル5の「緊急安全確保」が394世帯921人に発令されました。

美濃加茂市の市民:
「ここに住んで結構長いですけど、あまり見たことないですよね。こんな状態は」

 川の氾濫をもたらした原因は、ただの増水ではありませんでした。

(リポート)
「木曽川と合流する地点で加茂川の流れがせき止められて、『バックウォーター』と呼ばれる現象が発生したとみられています」

 バックウォーターとは、川の流れが逆流したり、せき止められたりし、あふれ出す現象です。

 同じ現象は白川町でも起こりました。飛騨川と交わる白川の水が氾濫し、町役場の駐車場をはじめ、一部の住宅などが冠水しました。

 川から10メートルほどの高さにある集会場も…。

自治会長:
「(水は)ここくらいです。本体80cmくらいかな。全部水没しました。ここまで来るとは思いませんでした。ひどいね、今年は」

 東海地方の雨は18日まで続く見込みです。これまでの雨で地盤が緩んでいる場所もあるため、気象台は引き続き土砂災害などに警戒を呼びかけています。

※動画の一部は下出英行さん、住民撮影