新型コロナウイルス感染拡大に歯止めがかからず、自宅療養者も急増しています。名古屋市内の自宅療養者数は、8月1日時点では461人でしたが、30日時点では過去最多の6347人と、1カ月間で13倍以上に急増しています。

 こうした中、自宅療養者の健康観察など新型コロナ対策の根幹を支える保健所では、かつてない患者の急増に多忙を極めています。

 31日、午前9時前の名古屋市中村区の保健センター。始業すると、電話が次々となり始めます。職員は朝から電話にかかりきりです。

対応する職員:
「コロナ陽性になりましたよということで、先生からお話しされたということですね」
「いまお聞きしている限りの状況だと、ご自宅で療養していただくっていう形で大丈夫かと思いますので」

(リポート)
「こちらでは保健師の皆さんが、自宅療養者の健康観察をしています」

保健師:
「咳は出ますか?息苦しさはないですか?お食事はいつも通り食べられてますかね」

 中村区内には現在およそ330人の自宅療養者がいて、毎日1回の健康観察に追われています。その間にも医療機関から新たな感染者の連絡が…。

 保健師は感染者に電話をかけて、行動歴を確認したり、濃厚接触者を特定したりする調査にあたります。

中村保健センターの担当者:
「1件実際に調査をするだけで、少なくとも1時間はかかります。今だいたい多い時だと1日50件弱ぐらい来ることがあります」

 名古屋市の8月の感染者は、日を追うごとに加速度的に増え、30日までで1万人を突破。月別で見ると、第4波の山だった5月の5533人の実に倍近くになっています。

 それに伴い、自宅療養者の数も6000人を超えて急増しています。

 こうした中、全国的に供給が追い付いていないのが、血液中の酸素濃度を測る「パルスオキシメーター」です。自宅療養に欠かせない医療機器で、名古屋市は2000個を持っていましたが、感染者が急増した8月中旬に3000個を追加購入しました。

中村保健センターの担当者:
「お渡しする時には、説明書きだとか付けてやるようにしています」

 重症化リスクのある自宅療養者に貸し出すのも、保健センターの仕事です。

 多忙化する保健センターの業務…。市はがんの集団検診など保健センターの他の業務を一時中断して、人手を新型コロナ対策に回しています。

 中村保健センターでも40人から50人に増員、さらに今後は他の部署から応援が来る予定ですが、先が見通せない状況に危機感を募らせています。

中村保健センターの担当者:
「患者さんたちの不安を、解消できるようにしていかなきゃいけないもんですから、とにかく患者さんへのアプローチが滞りなくできるかどうかというところが一番不安なところに感じています」