生後2カ月で左足切断…“太さ59センチ”の右足でメダル目指す パラ自転車競技・川本翔大の挑戦
東京パラリンピックは31日、自転車で50歳の杉浦佳子選手が優勝し、日本最年長の金メダリストに輝きました。同じタイムトライアルの「男子」に、名古屋の会社に勤める川本翔大選手も出場しました。
26日、自転車男子3000メートル個人追い抜きの予選で、世界新記録をマークした川本翔大選手。その後のレースで世界記録は更新され、結果は4位となりましたが、一躍注目を集めました。
川本選手は名古屋市に本社を置く穀物卸の大和産業の社員。普段は今回のパラリンピックの会場となっている静岡県伊豆市を練習拠点に活動。専属コーチなどは置かず、1人黙々と練習をこなしています。
川本選手は、生後2か月で悪性腫瘍のため左足を切断。
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以後、右足1本で体を支えてきました。
片足で自転車に乗るためには、バランスなど難しさを感じることも多いかと思いきや…。
川本選手:
「自分は生まれてすぐに障がいになって、ずっと片足で生活をしてきているので、両足でバランスを取ることが分からないので、バランスというのはあまり考えたことがないですね…」
高校時代は野球部にも所属していたという川本選手。
川本選手:
「ファーストとサード。障がい者野球になってから外野も守れるようになって、ライトを守るようになりました」
その障害者野球のチームで先輩から誘われ2015年、自転車競技に出会いました。
川本選手:
「障がい者野球をやっていたんですけど、一緒にやっている先輩に『発掘事業があるからちょっと行ってみたら』と声をかけていただいて、そこで自転車(競技)と初めて出会ったという感じです。(小さい頃から)ママチャリとかは乗っていたので、自転車に乗るということに関しては問題なくできました」
パラ自転車競技は障害の度合いによってクラスが分かれ、川本選手は重い方から2つめの「C2」。義足はつけず、右足1本で自転車をこぎます。
持ち前のガッツと運動能力で、競技を始めた1年後にリオのパラリンピックに出場。8位入賞を果たしました。
川本選手の武器は、自身の体を支え続けてきた強靭な右足で、太さは59センチもあります。
川本選手:
「リオの大会では、緊張だったりとか、会場の雰囲気に飲まれたりというのもあって、うまく自分の走りができなかったので、悔しい思いはしたんですけど、東京は2回目のパラリンピックになるので、リオに出た経験を生かして思い切り走りたいなと思っています」
そして31日、川本選手は富士スピードウェイで行われた男子個人、ロードタイムトライアルに出場しました。選手が1分おきにスタートし、8キロのコースを3周するタイムトライアル。
川本選手は上りがあるコースに苦戦し、トップと4分差の9位でフィニッシュ。次は9月2日のロードレースでメダルを狙います。