感染拡大に伴い、陽性判明後も自宅で療養したり、発熱などの症状を自覚したりして不安な時間を過ごす人が増えています。そうした人たちのもとに、「訪問医療」で駆け付ける医師たちを取材しました。

 名古屋市中区の「家来るドクター」。

 病院が閉まっている夜間や休日、急な依頼があった患者のもとに医師が出向く往診を展開しています。

 取材した9月1日も、スタッフが電話対応に追われていました。

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「家来るドクター」が開業したのは、コロナ前の2019年6月。感染の拡大によって、依頼が殺到するようになったといいます。

家来るドクターの営業部長:
「8月の中旬くらいから往診件数も倍になってきておりますし、発熱患者さん、陽性者の方、自宅療養の方からのご相談がございます」

 かつてない勢いで感染が広がる「第5波」。愛知県では、同時に自宅療養者の数も急増し、8月は1か月間でおよそ18倍にまで増加しました。

「家来るドクター」で往診にあたるのは、提携する4つの医療機関の医師。この日の担当医は通常の業務を終えた後、午後8時半ごろからの合流です。早速往診の依頼があった患者のもとへと向かいます。

往診医:
「病院でなかなか受けてもらえないっていう、かなり患者さんが悩んでいる状況と、コロナにかかっている方がすごく増えているんだな、ひっ迫しているんだなと思います。実際(仕事が)深夜0時を回ることはよくあります」

 1件目は、すでに陽性が判明し自宅療養中の60代の女性です。

往診医:
「コロナ陽性なので、僕たちも家の中に入りません。僕らも次の患者さんに行くわけですから、われわれがコロナをもらって違う患者さんにうつしてはだめですから」

 撮影はできませんでしたが、5分ほどで解熱剤などを処方し、すぐに次の患者の所へと向かいました。

 2件目は、前日から発熱している30代の女性。最近コロナの陽性者との接触があり、感染している恐れがあるといいます。

30代の女性:
「ずっと37.7度が継続…」

往診医:
「まず酸素を測るので、指を出して下さい」

 コロナの可能性がある患者には、子供以外は玄関先での対応。パルスオキシメーターで血液中の酸素飽和度などを確認します。

往診医:
「体の中の酸素は十分ありますね」

 続いて抗原検査。マンションの外廊下で手早くキットを準備し、すぐに採取した鼻の粘膜をキットに入れ、陽性・陰性の結果を待ちます。

 キットの中央、「C」と書かれた下に赤い線が浮かび上がります。陰性が確認されました。

 時間はすでに午後10時を回っていましたが、この後も次の患者のもとに向かいます。

往診医:
「大変にはなってくるんですけど、しっかり診断がついて、『こういった可能性があります』とか『安心してください』とお伝えすることで、不安な夜が少しでも取れれば。その人達に少しでもお役に立てれば」

 コロナの不安を自宅で抱える人たちのために…。「家来るドクター」の活動は今夜も続きます。