自宅療養者が増加し、家族同士や子供への感染も増えている今、夜間や休日に患者の自宅に駆け付ける医師がいます。連日深夜まで出動する「往診ドクター」に密着しました。

 名古屋市中区に事務所を構える「家来るドクター」。

20代で死者も…実際起きた“若い人の感染事例”「SNSで知り合ってBBQ」や「帰省し居酒屋ハシゴ」も

<電話対応する職員>
「現在、往診の方が混みあっておりまして、もしかするとお時間が一番遅くて21時半前後のお伺いになる可能性もあるんですけれども」

 家来るドクターが出動するのは、病院が閉まっている夜間や休日。予約は毎日殺到し、多い日は一晩で20件ほどの往診に行くこともあります。

 午後7時。往診の医師が合流し、患者のもとへと向かいます。

医師:
「指出してください。体内酸素ありますね」

 9月4日に感染が判明し、自宅療養中の30代の男性。薬が切れたため、解熱剤と感冒薬を追加で処方しました。

医師:
「自宅療養になりますので、体の中の酸素はありますから、不安になる必要はないかなと思っております」

男性:
「はい」

 感染者数には減少傾向がみえる一方、自宅療養者の数は依然として高い水準。さらに、最近ではある傾向がみられるといいます。

往診医:
「家族感染は多いと思いますね。家族でコロナになっていて、お子さんも濃厚接触で発熱したってケースもありますし、学校に通っていて発熱して、検査したらコロナ陽性だったって方もいます」

 同居の家族同士や、子供にも広がる感染。特に、10代以下の子供たちが抗原検査で陽性となるケースが、8月以降増えているといいます。

 訪れたのは40代の女性の家。同居する寝たきりの母親とともに発熱などの症状があり、家来るドクターに往診を依頼しました。

医師:
「2人ともですね、コロナ陽性です」

女性:
「陽性?え?」

医師:
「こちらの『T』のところに線が入っていると思うんですけど、陽性なんですね」

女性:
「はい…会社にもデイサービスにも連絡しなきゃいけないですよね」

医師:
「そうですね。最近は家族内感染がすごく増えちゃっているので」

 保健所へは家来るドクターが連絡し、2人は自宅療養となりました。
                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                        
医師:
「一応、一通り持って出て。それ以外の症状の薬も出すかもしれない、今回は」

 今度の患者は11歳の男の子。昼ごろから発熱し、38.5度まで上がっていました。

医師:
「まずコロナの検査をさせていただいていいですか。何か心当たりあります?」

父親:
「いや特には…」

医師:
「学校では風邪はやっていますか?」

男の子:
「はやってない」

医師:
「お友達はみんな元気?」

男の子:
「はい」

医師:
「じゃあね、マスクで鼻だけ出して。頑張ってね、ごめんね。ちょっとツーンとするね」

 検査キットの中央、Tの下に赤い線が出たら陽性、Cの下なら陰性です。

医師:
「『C』の所に線が入っているのが分かりますか?これ陰性です」

母親:
「よかった」

 新型コロナではなく、風邪と診断されました。

父親:
「今、どこの病院行くのも怖いですし。電話してみたら、すぐ対応していただいたので、とても助かりましたね」

 往診を終えたのは深夜0時。連日こうした活動が続きます。

往診医:
「コロナの可能性がある患者さんがいらっしゃったので、ひとつ安心されるのではないかと思います。若い方のコロナでの自宅療養中の死亡に至るケースもありますので、お気軽にご相談していただけるといいかなと思います」