ふるさと納税に名古屋市が本格的に乗り出しました。15日から返礼品の品数をこれまでの25倍の700品目以上に増やし、中には名古屋自慢の「バーミキュラ」の鍋もあります。

 錦鯉のオーナーに、熱気球への乗船、さらには漁師体験も…。「ふるさと納税」の誕生から10年以上。税収アップを狙って全国各地で知恵を絞った返礼品が用意されています。

 これまで名古屋市の返礼品といえば、名古屋城の入場券に、名古屋の水道水の缶詰など…。確かに名古屋にゆかりはありますが、行政が扱うモノばかりで民間の商品やサービスはありませんでした。

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 今回、地元・名古屋の企業「愛知ドビー」が手掛ける鋳物製の鍋「バーミキュラ」が名古屋市の返礼品に加わることになりました。

愛知ドビーの担当者:
「バーミキュラの最大の特徴は、蓋と本体の合わせ面の部分ですね。蓋を閉めた時にピッタリと合わさって、食材の持つ水分だけで『無水調理』できる鍋というのが一番の特徴となっています」

 大人気のこの鍋は今や名古屋の自慢。「バーミキュラ」と鍋を利用する炊飯器などが、15日から名古屋市の「ふるさと納税」の返礼品にラインナップされます。

 このほかにも、名古屋めしの代表格・味噌煮込みうどんに、味噌カツなども加わった名古屋市の返礼品、その数はなんと723種類。これまでの25倍の品を用意して、ポータルサイトで寄附を募ります。

 これほど返礼品に力を入れ始めたのには、深刻な理由がありました。

名古屋市財政局の担当者:
「流出は間違いないので、財政運営上大変苦慮はしています」

 そもそも「ふるさと納税」は、自分の故郷や応援したい自治体にお金を寄附することで、住民税や市民税が控除される制度。自分が住んでいる自治体への寄附はできません。

 激化した返礼品競争の中で、名古屋市では市民がほかの市町村に寄付する「税の流出」が起き、その額は今年度106億円にのぼると見込まれています。

 危機感を覚えた名古屋市は、返礼品を充実させ流出に歯止めをかけたい考えです。

名古屋市財政局の担当者:
「返礼品が全国に発信されていくこと。それに伴って行政として名古屋市には寄附が集まるので、財源が増えることも期待しています」

 起死回生の一手にと、その期待を託された地元企業の人気商品。

愛知ドビーの担当者:
「創業から名古屋市に拠点を置くメーカーですので、全国に名古屋の魅力を発信することや名古屋を盛り上げることに、微力ながら貢献できることをとても嬉しく感じています」

 ふるさと納税の返礼品を専門に紹介するサイトが定着し、本来の主旨と異なる形で加熱する返礼品競争。

 税の過剰な流出を防ぐために、名古屋市は今後も返礼品を見直し、税収の回復を目指すことにしています。