北海道での定着が確認されている寄生虫「エキノコックス」が本州では唯一、愛知県知多半島の野犬に感染が広がっています。

 ヒトにうつると重い肝機能障害を引き起こすエキノコックスの感染対策を取材しました。

■7年前に初めて愛知県で見つかる…知多半島で相次いで確認された「エキノコックス」

 愛知県の知多半島。道路脇には「動物注意」の標識も。この地域でここ数年相次いで見つかっているのが「エキノコックス」です。

 体長数ミリの寄生虫で、もともとは北海道のキタキツネが持っていました。

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 しかし、愛知県では7年前に初めて知多半島の阿久比町で野犬から見つかりました。その後も、2018年に半田市の施設が保護した野生のイヌのフンから相次いで発見され、昨年度までに知多半島では9頭の野犬から確認されています。

■重い肝機能障害で命に関わることも…犬からヒトへの感染に要注意

 キツネや犬がエキノコックスにかかっても特に症状は現れませんが、注意しなければいけないのが犬からヒトへの感染です。

愛知県感染症対策課の担当者:
「口の中に虫卵が入りますと、卵から幼虫にかえり、そこで寄生虫が肝臓に寄生していきます。お腹が痛くなったり、肝臓が腫れたりだとか」

 ヒトが感染すれば、10年前後の潜伏期間のあと重い肝機能障害などを起こし、命に関わることもあります。

 感染したキツネや犬がエキノコックスの卵を含む糞をし、その卵をネズミが食べます。そして、野犬やキツネがネズミを食べることで感染が広がります。

 そうした過程で、食物や水などに卵が付着し、人の口から入ることで感染します。

 北海道では過去に、感染した旭山動物園のサルが相次いで死んだことがあります。

 また、道内では毎年10人から20人の患者の報告があるということです。

■「エキノコックス症」は経口感染…徹底した手洗いや生水を飲まない等の対策を県が呼びかけ

 知多半島でも相次ぐ感染。地域の人たちからは不安の声があがっています。

知多半島の住民:
「怖いなっていう。犬を飼っているので、犬に寄生したりとか、他人事ではない」

別の知多半島の住民:
「この全国広い中で、北海道からなぜ知多半島っていう。こういうローカルな所でというのは感じました」

 エキノコックスがどのように愛知県に持ち込まれたかは県の調査で分かっていないものの、予防対策を徹底してほしいと呼びかけます。

愛知県感染症対策課の担当者:
「エキノコックス症というのは経口感染になります。エキノコックスの卵がいるかもしれない。野山に入って帰ってきた時には、しっかり手を洗っていただく。沢や川の生水に含まれている恐れがあるので、生水は飲まない。山菜や野菜などは、しっかりよく洗っていただくと」

※画像は国立感染症研究所提供