有効性や副反応の頻度は…専門医に聞いた3回目“ブースター接種”のメリットと課題「まずは2回目を確実に」
新型コロナワクチンの3回目接種「ブースター接種」について、“発症予防効果が95.6%に達する”と、高い有効性を示す試験結果が発表されました。
議論が進むブースター接種のメリットと課題について、専門医に聞きました。
伊東医師:
「今出ているデータからは、ブースター接種は恐らくした方がいいのかなというのはありますね」
こう話すのは、感染症専門医で愛知県がんセンター病院の伊東直哉医師。感染収束に向け、新型コロナワクチンの3回目接種=「ブースター接種」の効果に期待を寄せます。
アメリカのファイザー社などが発表した臨床試験結果。ブースター接種により「発症予防効果が95.6%に達する」と高い有効性があると示しました。
伊東医師:
「3回目接種の現時点のメリットは、経時的な変化で落ちてしまった感染予防効果を、再び高めるということなんですよね。免疫が落ちてきている人達に対して接種するというのは、感染拡大を抑えるという意味では意義があるのかなと思います」
これまでの研究で、時間の経過とともに低下していくことが示されているワクチンの効果。
厚生労働省の分科会は「2回目接種から8カ月以上後」での実施に向け、ブースター接種の議論を重ねています。
愛知県でも、まず県内に19万6千人いる医療従事者を対象に、今年12月から始める方針が示されました。
伊東医師:
「先行してワクチン接種を行った人たちが12月で、それ以外の医療従事者が1月、高齢者にやるなら2月になるのか。一般の人にやるにしても、少なくとも2月以降ということにはなると思う。だいぶ先じゃないですかね、おそらく」
伊東医師によると、医療従事者以外の一般の人がブースター接種を受けるのは、来年2月以降になる見通し。少し時間はありますが、その間気になるのは副反応の程度です。
伊東医師:
「海外のデータを見ると、副反応の頻度は2回目と大きく違いはないと思うんです。(高齢者など)一般の人にブースター接種をやるとなるかもしれないんですけど、そういった人たちが接種する前に(医療従事者の)日本のデータも揃ってくると思うので、最新のデータを見ながらブースター接種を考えていく必要があると思います」
一方で…。
伊東医師:
「『じゃあ(ブースター接種を)打ちましょう』と言うと、打つための課題は多い、色々あるわけですね。自治体の準備だったり、そもそもワクチンを確保できるのかとかですね。追加接種に必要なワクチンの確保という問題はあるわけですよね」
ワクチンの確保に加え、すでに閉鎖している所もある大規模接種会場の再整備。それに、人によって異なる「接種後8カ月以上」の時期について、接種券を発送する自治体が整理することなど、今後クリアすべき課題を指摘します。
伊東医師は、ブースター接種自体は「急がれるべき」としながらも、まずは現状の2回目接種を進めることを推奨します。
伊東医師:
「少なくとも2回の接種をすることによって、重症化を予防する効果は保たれているので、まずは2回目の接種を。ブースター接種よりも確実に行うことが重要かと思いますね」