名古屋市中区に、食器や家電などを好きなだけ壊して、日常のストレスを発散できるスポットがあります。スカっとストレスが発散できるこの店は、自粛生活が続く去年8月のオープン以降人気に。東海3県唯一の「破壊店」には、様々なストレスを抱えた人たちの姿がありました。

■食器や家電をぶっ壊してストレス発散…「破壊店」を訪れる人々

 名古屋・栄の久屋大通駅から徒歩5分のビルの4階にある「Beat it(ビート・イット)」。

【画像で見る】食器や家電が全て“壊し放題”のストレス発散『破壊店』 自粛疲れや結婚報道で絶叫

店内には、食器やグラスが並ぶ「リビングルーム」と…。

家電などがある「ガレージルーム」の2種類の部屋があり、全て壊し放題です。

 正午。開店して早速、2人の男性がやって来ました。用意されたつなぎに着替え、長靴にヘルメットと手袋を装着。

そして、皿を勢いよく壁に投げつけたり、鉄パイプで電子レンジを叩きつぶしたり…。破壊の仕方も様々です。

運送業の男性(20代):
「すっきりしましたし、いい汗かいた」

接客業の男性(20代):
「最高でした。叩いてる瞬間、何も考えられなくなる」

 接客業の男性は、仕事で上京する予定がコロナの影響で保留に…。そんな焦りもあり抱えていたストレスの解消にやって来たといいます。1年半の自粛生活、ストレスも倍増です。

■パパが全然帰ってこない…父親にストレスをためる小学生

 続いてやってきたのは、子ども連れの家族。両親にストレスを伺おうとすると…。

息子:
「僕パパに怒っていることあるよ。パパが全然帰ってこない。遊びたいのに」

 小学2年生の息子は、パパにストレスをためていて、モノをパパだと思って叩いていたといいます。その後も、人型のサンドバックにパンチを連打。

母親(30代):
「(息子に)ストレスたまってるの?まだ足りないみたい」

父親(40代):
「子供にやらせたかったので。2人に迷惑ばっかりかけているのでね、家族サービスです」

母親:
「サービスっていう言葉がダメ」

 奥さんからもダメ出し…。お父さん、我慢です。

■壊れた家電や家具を解体業者などから譲り受け…アメリカで話題の「破壊店」を名古屋で出店

 破壊する家電や家具は、全て処分されるもので解体業者や知人から譲ってもらっています。

Beat itのオーナー:
「こういうお店(破壊店)が昔アメリカで流行っていたのを知っていて。日本は結構厳しいので、できないかなと思っていたんですけど…」

 破壊店は、2008年にアメリカ・テキサス州の女性起業家が自宅のガレージで開業し、その後SNSで話題に。コロナ禍の2020年8月に東海地方に初出店すると、自粛生活のストレス解消としてたちまち人気になりました。

■コロナ禍で働く店は休業状態…仕事が無いストレスを発散する2人のニューハーフ

 続いて訪れたのは、ニューハーフのまゆさん(27)とゆりさん(35)です。

ゆりさん:
「コロナでの休みのストレス発散で。仕事が無いっていう。食べるしかないので太っちゃうので、運動しに」

 栄の錦三丁目で働いていますが、店はここ一年ほど休業状態…。貯金を切り崩して生活しているといいます。

ゆりさん:
「ネットフリックスとか、ほとんど家にいますよね」

まゆさん:
「料理が上手くなっちゃいます」

 最初は恐る恐る、破壊しますが…。次第に慣れてくると次々に破壊。2人はマネキンに襲いかかり、服をビリビリに…。

ゆりさん:
「(まゆさんは)元野球部だから、すごく筋が良くて…」

まゆさん:
「昔よく、これ(バット)握って振っていたので懐かしいなって思って」

 宣言解除に伴い、2021年10月から店は再開しましたが、お客さんは戻って来るのか不安は尽きません。

■結婚してんじゃねーよ…大好きなタレントの結婚にストレスをためる女性

事務職の女性(28):
「インスタ匂わせて結婚してんじゃねーよ!!」

 こちらの女性は、好きな芸能人の結婚にストレスを抱えていました。

同・女性:
「先日ライブも見に行って、めちゃめちゃテンション上がった1週間後に結婚のニュースが出ちゃって…」

 この女性のストレスは、三代目 J SOUL BROTHERSの山下健二郎さんの結婚報道でした。

同・女性:
「ウエディングフォトとかツイッターで流してんじゃねーよ。4億の豪邸建ててんじゃねーよ!」

 9月には嵐の櫻井翔さんと相葉雅紀さんも、それぞれ結婚を発表。行き場のない気持ちのはけ口に「破壊店」はオススメです。

■「破壊店」で1か月ぶりのデート…様々なストレスと向き合う人々

 コロナで思いきり遊べないストレスを解消しにくる人たち…。

保育士の女性(20代):
「毎日窮屈な生活を送っているので、色々制限されたりとか…。しょうがないんですけど…」

別の保育士の女性(20代):
「神経がすり減ってしまう時があるなという感じ」

 遠距離恋愛中の2人は、「破壊店」で1か月ぶりのデートです。

会社員の女性(23):
「嫌いな上司の買い物に付き添いさせられたりとか。40分くらい…」

会社員の男性(36):
「(彼女が)ストレス抱えてるなって思ったので…。発散してもらえたらいいなと来たんですけど、自分の方が楽しんじゃった」

 色々なモノを壊せる「破壊店」には、コロナ終息を願い、様々なストレスと向き合う人々の姿がありました。(「Beat it」は、年内で閉店する予定です)