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海を汚染する“海洋プラスチックゴミ”が社会問題となり、レジ袋が有料となるなど、最近は消費者の環境への意識が高まっています。
愛知県碧南市の菓子メーカーが作った「食べられる食器」が注目されています。お皿だけでなく、カップにお箸にスプーンまで…。食べられる食器が、私たちの未来を変えます。
■誕生のきっかけはご当地グルメイベント…使い捨て容器減らすためにイートレイを開発
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愛知県碧南市は、アイスもなかの皮を作るメーカーが合計9社ある全国一の産地で、その内の1社が40年前に創業した「丸繁製菓」です。
【画像20枚で見る】アイスもなかの皮作る技術で“食べられる食器”「食べ合わせ楽しんでゴミ削減」
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その技術を生かした商品の一つが、「イートレイ」(えびせんべい味 10枚入 967円)です。料理を乗せても割れたり溶けたりせず、最後には丸ごと食べられる器です。
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想像以上に硬くしっかりとした器を食べてみると、まさにえび風味のせんべい。
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水分にも強く頑丈なイートレイは、この会社の専務・榊原勝彦さんが考案しました。開発のきっかけは、10年前にブームだった“ご当地グルメ”のイベントでした。
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榊原さん:
「会場で目の当たりにしたのが、ゴミの問題。たくさんの使い捨ての容器が捨てられていたので…。自社の技術でなんとかできるんじゃないかと」
■焼きもろこし味など5種類…特産品のえびせんべいの主原料を加え強度を強化
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一般的にアイスクリームのコーンやもなかの皮は、器として水に弱いのが課題でした。そこでヒントになったのが、地元名物のえびせんべい。
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榊原さん:
「このあたり(愛知県西三河)はえびせんべいの特産地で、えびせんべいの主原料『馬鈴薯でんぷん』が多いんですよね」
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アイスもなかの主な原料は小麦粉やコーンスターチ。イートレイにはジャガイモのでんぷんが入っています。水を入れると、もなかの皮は9分ほどで溶けてしまいますが、イートレイは1時間以上たっても水が漏れず形も崩れません。味にもこだわり、えびやオニオン、紫いも、焼きもろこしなど5種類の味を作りました。
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榊原さん:
「おいしく食べることに重点をおいて、お皿にもしっかりと味がついていて…。中の食材との食べ合わせを楽しみながらゴミを削減していくという発想でやっています」
■「これ単体で全然いける」…食べられるイートレイやスプーン
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愛知県碧南市の青果店が営むカフェ「ぜんめいや」では、店の話題作りにイートレイを使い始めました。
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食べられる器に、旬のフルーツとソフトクリームがたっぷり盛られています。
女性客:
「味ある。これ単体でも全然いける」
男性客:
「甘かったので、この(イートレイの)しょっぱさがちょうどよく口の中を整えてくれる感じがいい」
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安城市役所の食堂でデザートに添えられるのは、食べられるスプーン「パクーン」(5種ミックス(20本入り)1620円)です。味は5種類で、カボチャやビーツ、抹茶などの野菜のパウダーが入っています。
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女性:
「すごい抹茶の風味があって、とてもおいしかったです。きっと子供たちも喜ぶかなと思います」
このスプーンを開発したのは、社員食堂などを運営する刈谷市の「勤労食」です。
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子供の向けの料理教室や食育のイベントで使うため、丸繁製菓に製造を依頼しました。
■食べられる器を家族で楽しむ…SNSでイートレイを使った料理を発信する女性
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食べられる器を、家庭でも使ってほしい…。フードクリエイターのおかちまいさんは、SNSでイートレイを使った料理を発信しています。
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おかちさん:
「アウトドアとか外のイベントで使われがちですけど、意外とおうちのごはんの盛り付けとかにも使いやすいです」
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おかちさんは、イートレイを弁当箱代わりに使ったり、ホームパーティーでチーズフォンデュの器にしたり…。
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さらにサンドイッチの入れ物にして見た目も鮮やかです。一緒に作って楽しい、最後に器まで食べて楽しい…。
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おかちさんは、イートレイはエコにもつながる家族で楽しめるモノと話します。
■イートレイは海外でも話題に…プラスチックのスプーンは“なくて当たり前”の未来に向けて
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海を汚染する“海洋プラスチックゴミ問題“。日本では2022年度から「プラスチック資源循環促進法」が施工されます。
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使い捨てのプラスチック製品のうち、スプーンやフォーク、ストローなど12品目が指定され、事業者は有料化や再利用などの実施が義務付けられます。
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イートレイを作る榊原さん:
「ここ2~3年すごく以前と違う雰囲気になっている。一般の消費者さんが気付き始めた。そういったとこでイートレイの需要は高まってきていますね」
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10年前にイートレイを生み出した「丸繁製菓」は、今では食べられるコップや箸なども開発。売上は、2019年の4倍になりました。イートレイは、海外のニュースでも取り上げられハワイやアジアへの輸出も進んでいます。
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榊原さん:
「コンビニの袋が有料化になった。“あって当たり前”だった人間からすると不便しか感じないけど、“なくて当たり前”で育った子どもたちは不便を感じない。そういう方が増えていけば、きれいな環境を未来に残していける…」
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食べられる食器が、私たちの未来を変えていきます。