東京五輪 メダルラッシュの陰で…『届かなかったメダル』 バドミントン・フクヒロペアが今話す“あの瞬間”
東京オリンピックでは連日、日本のメダルラッシュに湧きましたが、メダルを期待されながら届かなかったアスリートがいます。東京オリンピックから約5か月、岐阜市に練習拠点をおくバドミントン・女子ダブルスの“フクヒロ“ペアこと福島由紀選手と廣田彩花選手です。
東京オリンピックから約5か月、いま抱く想いとは。今だから話せるあの瞬間に迫ります。
■東京五輪で金メダルが有力視されるも…本番1か月前に右ヒザの大ケガ
熊本県出身のバドミントン・女子ダブルスの“フクヒロ”ペアこと福島由紀選手と廣田彩花選手は、高校の1つ違いの先輩(福島)と後輩(廣田)です。
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2018年から練習拠点を岐阜市に移し、当時“世界ランキング1位”だったフクヒロペアは、東京での金メダルも有力視されていましたが、廣田選手が東京オリンピックの1か月前に右ヒザの前十字靭帯断裂の大ケガを…。
廣田選手:
「診断を聞いた時に、真っ暗になったというか…。福島先輩にすごく申し訳ないなという気持ちが…」
オリンピック本番では予選から相手ペアに、右ヒザに大きなサポーターを付けた廣田選手は的を絞られ、準々決勝で敗退しました。しかし、福島選手に映った廣田選手の姿は、意外なものでした。
福島選手:
「私は正直『えっ、廣田ってこんなに動けるの?』って。廣田が練習以上に動きすぎて、『行かなくていいよ、私いくよ』みたいな感じで」
廣田選手:
「練習より動いていた分、ちょっと福島先輩も戸惑った部分もあったのかなと思うんですけど…」
■廣田選手「福島先輩じゃなきゃ無理」… “フクヒロ”で再びコートに戻る日を目指す
オリンピックの後、廣田選手は手術・リハビリで長期離脱し、フクヒロペアも解消。今年10月の国別対抗団体戦では、福島選手は別の選手とペアに。それを廣田選手はどのような気持ちで見ていたのでしょうか。
廣田選手:
「楽しそうに試合しているなって。でも、他の選手と組んでいるのを見ると、やっぱり『いや、自分が組みたい』と思う気持ちもありつつ、でも頑張ってほしいなって気持ち半分っていう感じでした」
ケガが治ったら、「自分が組みたい」と話した後輩の廣田選手。これを聞いた福島選手は、思わず涙…。
福島選手:
「(廣田選手とのペアは)すごく楽しかったなって。それが“絆”ってよく言っていたんですけど、長く組んできて、オリンピックの前よりもフラットに話したり、自分の思いを伝えあったりできるようになったなと」
廣田選手:
「全部2人で乗り越えてきて、あの舞台に立てて…。信頼がより厚くなったというか、福島先輩じゃなきゃ無理だったなって、すごくあそこで感じることができました」
また“フクヒロ”でコートに立ちたい、それが今の目標です。
福島選手:
「パリ(オリンピック)っていうよりは、復帰戦がやりたい。自分たちは先のことよりは、廣田がどれだけ動けるかわからないんですけど…、オリンピックより動けたらすごいよね」
廣田選手:
「新たな“フクヒロ”を見てもらいたいな。2人でまた楽しく試合をしているところを見てもらいたいです」
数々の困難を乗り越えてきた“フクヒロ”ペア。2人は、再び一緒にコートに戻る日を目指します。