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小ぶりな醤油味の昔ながらの“名古屋風たこ焼き”は、醤油味です。本場・大阪のたこ焼きがソース味なのになぜ「名古屋たこ焼き」は醤油味なのか。そのルーツを探るため大阪のたこ焼き発祥の店を訪ねると、そもそも大阪のたこ焼きもソースではなく醤油味ということが分かりました。
■「醤油味」「小玉」「キャベツ入り」…名古屋の人も知らない“名古屋風たこ焼き”
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「名古屋風たこ焼き」について、名古屋の街で聞きました。
女性:
「(聞いたこと)ないです」
男性:
「名古屋のたこ焼きが独特?知らないです」
別の男性:
「わからない。味噌がかかっているならわかりますけど…」
名古屋のたこ焼きが独特という認識はないようです。そこで、名古屋めし専門の料理研究家Swindさんに聞いてみると。
Swindさん:
「『名古屋たこ焼き』と最近呼ばれるように…。実は名古屋のたこ焼きが(他と違う)特徴だったということに、だんだん気付いて来た…」
【画像20枚で見る】名古屋のたこ焼きなぜ「醤油味」なのか…調べたら『たこ焼き発祥の店の醤油味受け継いだ説』
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「名古屋たこ焼き」は、どのようなものなのか…。まずは、Swindさんと最近オープンした名古屋たこ焼きがウリのお店へ。
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名古屋市中村区のJR「八田駅」のすぐ目の前に10月にオープンした「さく蛸」の店の看板には、“名古屋焼き醤油専門”の文字が掲げられていました。注文した「名古屋焼き醤油」(10個400円)は、外はカリカリで中はトロトロ、だし醤油がしっかり効いているたこ焼きでした。このたこ焼きのどこが名古屋風なのか聞いてみると…。
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さく蛸の店主:
「ひとつは“醤油味”、次に“小玉”。一般のたこ焼きよりも一回り小粒。そしてキャベツが入る」
Swindさん:
「まさに、名古屋の昔から愛されてきたたこ焼きのスタイルがこれだと思います」
「名古屋たこ焼き」の定義は、「醤油味」、「小玉サイズ」、「具材にキャベツ」の3つ。この店では、愛知県産の熟成たまり醤油を使っています。
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また、甘味を引き出すために一晩干して水分を抜いたキャベツを使っていますが、なぜ名古屋風たこ焼きにキャベツが入ったのでしょうか。
Swindさん:
「愛知県がキャベツの産地ということと、昔はお好み焼きとたこ焼きが一緒に売られるケースが多かった」
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「誰かがお好み焼き用のキャベツをたこ焼きに入れ、それが美味しかったから広まったのでは」とSwindさんは推測します。
■「ソースが当たり前」…ソースと生地の相性抜群の本場大阪の「たこ焼き」
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続いて向かったのは、名古屋市中区の本場大阪の味「元祖どないや」。
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注文した鰹節と青のりがたっぷり乗った本場の「たこ焼き(ソース)」(1人前8個入り650円)は、染み込んだソースがトロっとした生地と相性抜群です。大阪出身の店員さんに、名古屋たこ焼きについて聞いてみると…。
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大阪出身の店員:
「名古屋は醤油が普通と思われてる人が多いけど、僕の中ではソースです、たこ焼きは」
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本場大阪では「ソースが当たり前」。しかし、なぜ名古屋たこ焼きはソース味ではないのでしょうか。すると、Swindさんからある見立てが…。
Swindさん:
「(大阪の)ソースが名古屋のソースとちょっと違うんじゃないかと。もしかしたら、そこの差が名古屋と大阪のたこ焼きの違いにつながっている可能性がある」
■なぜ名古屋たこ焼きはソースでなく醤油味なのか…名古屋の“こいくちソース”で実験
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なぜ名古屋たこ焼きはソース味でないのか。その理由が、名古屋と大阪の“ソースの違い”にあるのかもしれない。名古屋を代表するソース「こいくちソース」で作ったたこ焼きはどのような味がするのか実験しました。
Swindさん:
「サラッとしたソース。“こいくち”は、しょっぱいではなくてうま味が濃い。うまみ成分が多い」
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東海地方ではお馴染みの「コーミソース」。名古屋のソースは、このコーミソースに限らずうま味が濃くてサラッとしているのが特徴です。このソースを焼き上がったたこ焼きに塗っていくと…。
Swindさん:
「とろみがないんで、ソースを吸ってますよね。真っ黒に…、見た目はあまりそそられない…」
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肝心の味も、ソースが生地に馴染むような一体感は感じられません。サラサラした名古屋のこいくちソースは、フライ系などにはよく合いますが、「たこ焼き」の場合とろみがないため、表面に留まりにくく味が薄くなってしまうようです。
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一方、とろみのある関西風のソースをかけてみると…。
Swindさん:
「見た目からツヤツヤして、とろみがあるからたっぷり塗れる、全然違う。照りがしっかり残っていて美味しそう」
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見た目も関西風のソースの方が美味しそうです。比較してみると、ソースの特徴の違いが、名古屋独自の“醤油たこ焼き”を生んだのかもしれません。
■もともと大阪のたこ焼きも醤油味だった…たこ焼き発祥の店で判明した事実
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ここでSwindさんから、「大阪のたこ焼きももともとは醤油味だった」という説が…。真相を確かめるため、たこ焼きの本場大阪の「元祖たこ焼き 会津屋」を訪ねました。
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「会津屋」は、昭和10年に当時子供のおやつだった「ラヂオ焼き」に初めてタコを入れ「たこ焼き」と名付けた“発祥のお店”として知られています。早速「元祖たこやき」(12個500円)を注文すると…。
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Swindさん:
「ソースでない素焼き。しかも小ぶりなんで、名古屋のサイズに近い…。だしの味がきいて、名古屋たこ焼きに限りなく近いというか…、もうそのままだと思います」
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この店のたこ焼きは、「小ぶり」で「醤油味」と驚くほど名古屋たこ焼きに似ていました。店長に、名古屋たこ焼きについて聞いてみると…。
会津屋の店長:
「名古屋のお客さんがそういうの(名古屋たこ焼き)あるよとは聞いたんですけど…」
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やはり、名古屋から来たお客さんに「似ている」と指摘されるといいます。名古屋たこ焼きがなぜ醤油味なのかを探ってみると、そもそも醤油味の大阪のたこ焼き発祥の店の味を受け継いでいる可能性があることが分かりました。