ステルスオミクロンBA.2は日本でも報告…特徴は“感染力の強さ” 医師「また今後まん延リスクある」
従来のオミクロン株の亜種『BA.2』、ステルスオミクロンとも呼ばれています。この『BA.2』について、現在わかっていることをまとめました。
2月8日、新型コロナ対策政府分科会の尾身会長は、国会で「感染拡大のピークアウトは可能」という認識を示しました。一方で、今後の感染者数の見通しについては…。
尾身会長(2月8日):
「最悪の場合には『BA.2』という亜種がありますから、(新規感染者数が)なかなか下がらないで、むしろ上がるということも考えられる」
感染症に詳しい、愛知県がんセンター病院の伊東直哉先生に伺うと、「感染力の強い『BA.2』の流行の影響で、仮に感染者数が減り始めたとしても今後の上昇、またまん延してしまうリスクはある。すでに市中感染が広がっている可能性もあると思う」ということです。
従来のオミクロン株は『BA.1』(ビーエーワン)と呼ばれていて、その亜種を『BA.2』(ビーエーツー)と呼びます。ヒトの細胞に結合して感染させるために使う「スパイクタンパク質」という部分が主に違うといいます。
一般的なPCR検査では、『BA.1』か『BA.2』のどちらに感染したかわからないことから、「隠密」「発見されない」という意味で「ステルスオミクロン」という異名がつきました。
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実際『BA.2』の感染者の割合は増えていて、最新の報告によると、ワクチン3回目の接種率が高いデンマークではおよそ半分、アメリカでは3.6%、南アフリカではほぼすべてが『BA.2』に置き換わっています。日本でも、空港や港の検疫で313例の報告があります。(国立感染症研究所:1月26日)
名古屋市衛生研究所に伺うと、名古屋市で感染した人を中心に1日60人分ほどを検査していて、これまでに8例の『BA.2』が発見されたといいます。
愛知県がんセンター病院の伊東先生は「検査は全体の一部で、これは氷山の一角。東海地方でもすでにまん延している可能性は十分考えられる」と話します。
『BA.2』の特徴は以下の通りです。
■症状
従来型のオミクロン株と同じで、無症状や軽症が多いといわれている。オミクロン株の症状はデルタ株に比べ「のどの痛み」が強く出て、味覚や嗅覚の障害は少ないということが分かっている。
■感染力
イギリスやデンマークの研究で、家庭内の二次感染の確率が従来型よりさらに高いことが報告されている。
イギリス:
『BA.1』10.3% →『BA.2』13.4%
デンマーク:
『BA.1』29% →『BA.2』39%
■ワクチンの効果
「感染予防」については不十分でブレイクスルー感染もありえるが、「重症化」を防ぐ効果はある。
これらの特徴を踏まえ、多くの患者を診てきた伊東先生は「少しの隙、一回のミスでも感染してしまうのが今のオミクロン株」と話します。
伊東先生は取材した時点では、家に帰らずホテルから病院に通勤していました。愛知県内の多くの保育園・幼稚園が閉園となっているなかで、家には5歳と2歳の2人の子供がいて、病院で感染しない自信はあるけれど家での感染は防ぎようがないといいます。
そして「子供がコロナをもらってくるのは、ある意味仕方のないこと。しかし、少なくとも大人が家庭に持ち込まないことが非常に大切」と話しています。