トヨタ自動車は仕入先へのサイバー攻撃の影響で、3月1日に国内すべての工場の稼働を停止しました。原因は身代金を要求するランサムウェアの疑いがあり、警察も捜査に乗り出しました。

 3月1日、午前9時を迎えるトヨタ自動車の元町工場は稼働停止を受け、出勤する人の姿はまばらでした。

 トヨタ自動車は3月1日、子会社の日野自動車やダイハツ工業の工場を含め全国14工場28ラインの稼働を停止。

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 原因となったのが、仕入先の「小島プレス工業」におけるシステム障害です。

 トヨタの仕入先の部品メーカー、小島プレス工業によりますと、被害があったのは2月26日午後9時ごろ、社内の一部のサーバーで障害の発生を検知。再起動したところ、ウイルス感染と脅迫メッセージの存在が確認されたということです。

 この事態に、小島プレス工業はさらなる被害拡大を防ぐため、取引先や外部とのネットワークを遮断する措置を決定。

 小島プレス工業のホームページは、正午になってもアクセスができない状態が続いていました。

 今回のサイバー攻撃の影響で、トヨタとの間で部品の発注や受注のシステムが使えなくなった小島プレス工業。

 トヨタ創業期からの老舗部品メーカーで納入する部品も多岐に渡っていたため、トヨタは部品の調達が難しくなり国内すべての工場停止へと陥りました。

 今回のサイバー攻撃について、専門家は身代金を要求するランサムウェアの可能性があると指摘します。

専門家:
「ランサムウェアを使っているグループにシステムに侵入されて、データが暗号化されたということが原因だと思います。侵入した先のファイルを取得して暗号化するというものと、取得して公開するから公開されたくなければお金を払えと、この2種類が現在存在しております」

 ランサムウェアとは、機密情報のデータを暗号化して、その復元と引き換えに金銭を要求するウイルスのことです。

 小島プレス工業は今回のサイバー攻撃について、関係省庁へ報告するとともに警察にも相談したとしています。

 一方トヨタ自動車は、3月2日から全ての工場の稼働を再開させると発表。

「急遽の稼働停止で、お客様および仕入先・関係先の方々に様々なご不便をお掛けしましたことを、改めてお詫び申し上げます」とコメントしています。