かつての移住者が受け皿整備…テレワークできるシェアオフィスで移住を促進 “自然だけじゃない”地方の魅力
コロナ禍となり、都会から地方都市に移り住む人が増えています。コロナ前と比べ移住者が1.5倍に増えた岐阜県郡上市では、テレワークができるシェアオフィスの拡充や、移住を検討する人向けにオンライン説明会を開催するなど、更なる移住者を呼び込むために模索を続けています。
■郡上の豊かな自然に惹かれて…愛知県から家族で移住して来た経営者の男性
新型コロナの影響で、暮らしや仕事のやり方を見直す人が増え、都会の「密」を抜け出す移住を検討する人が増えています。
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2021年の東京23区の転入者数が約36万5000人に対し、転出者数が38万人ほどと転出が転入を上回る「転出超過」となりました。
岐阜県は、人口が減る中でも移住者は年々増え続け、2020年度は1752人が移住。名古屋からの程よい距離感と、豊かな自然に惹かれた20代から30代の若い世代が7割以上を占めています。
英会話レッスンなどのサービスを提供する会社を経営する岡本琢磨さん(42)は、2022年1月5日に岐阜県郡上市に移住しました。
テレワークの普及をコロナ禍が生んだ数少ないプラス面ととらえ、実家のある愛知県知多市からの移住を決断しました。郡上市を選んだ決め手は、冬は“銀世界”、夏は“川遊び”と、四季によって表情を変える豊かな自然です。
岡本さん:
「海外に住んでいたんですけど、コロナで日本に戻ってきた。家族みんな、特に子供たちが(郡上を)気に入ったことがあって、引っ越して来ました」
■移住者同士や地域の人との交流の場に…10年前に移住してきた男性が運営するシェアオフィス
もともとカフェを拠点にリモートワークをしてきた岡本さんには、移住するにあたり自然環境の他にもう一つ重視していたことがありました。
岡本さん:
「仕事をする場所。家だと子供がいたり集中できなかったり」
その条件をかなえたのが、清流・吉田川のほとりにある使われなくなった紡績工場を、総務省や市などの補助金を受けてリノベーションしたシェアオフィス「HUB GUJO(ハブ・グジョウ)」(コワーキングスペース利用 1万円/月 など)です。
山里にありながら、リモートワークに必要な最先端の設備の他、雪国ならではの暖炉も備え付けられ、移住してきた働き手の受け皿になっています。このシェアオフィスの代表を務めるのが、10年前にこの地に移り住んだ赤塚良成さん(61)です。
赤塚さん:
「名古屋でソフトウェア開発会社をやっていまして、2000年くらいからほぼ仕事がリモート。IT業界は、コロナになる前からオンラインコミュニケーションは日常的だった」
5年前に完成したこの施設には、移住の先輩としての赤塚さんの経験が生かされています。
赤塚さん:
「(移住してきて)一番思ったのは郡上のことを知らなかった。実際来て知ることが多い。ここに集まった人も、郡上にいなかった人たちばかりなので、新しい事業ばかり」
見ず知らずの土地で暮らしていくために欠かせないのは人間関係。「HUB GUJO」は、移住者同士や地域の人も交えての交流を積極的に行うなど、コミュニティの拠点にもなっています。
この日開催されたのは、人口を少しでも増やし経済を活性化させたいと岐阜県とタッグを組んで行ったオンライン説明会。
赤塚さん(オンライン説明会で):
「こちらがコミュニティースペースといって、卓球台とかドラムセットも自由に使っていただいています」
郡上市への移住に興味があるものの、新型コロナの感染拡大で実際に訪れての見学ができない人のために、暮らしの基盤の整え方や、地域の魅力、ライフスタイルなどを顔の見える形で説明しました。
参加者の女性:
「田舎って、違うところから来た人にウェルカムでないこともあるのかな…。(でも)郡上市はすごく受け入れてくれるんだと思いました」
コロナに翻弄され2年、都市を離れ移住を検討する人をいかに呼び込むか、模索は続いています。