名古屋市千種区にあるイオンタウン千種に、野菜やお肉などの生鮮食品やお弁当をお値打ちに販売する「わくわく広場」があります。お値打ちの理由は、店が商品を仕入れて販売するのではなく、生産者や飲食店が店から売場を借りて直接お客さんに販売しているからです。産地直送の旬な野菜など魅力的な商品が揃っています。

■多い日には1日1000人が訪れる…生鮮食品や調味料が揃う「わくわく広場」

 スーパーや洋服の専門店が入るショッピングモール・イオンタウン千種の1階に、「わくわく広場」はあります。

【画像20枚で見る】生産者が売りたい物を売りたい値段で…イオン等に展開の『わくわく広場』の“直販システム”

わくわく広場は、千葉県に本社を置く会社が運営していて、東海地方ではイオンモールなどのショッピングモールを中心に19店舗を展開。その数は増え続け、今では全国に125店舗あります。

 店内には、野菜やお肉、卵などの生鮮食品をはじめ、全国各地のこだわりの調味料が並びます。

女性客
「1週間分の食材の買い出し。トマトとかブロッコリーとか。新鮮なものが多くて、お値段がお得な割に価値が高い」

別の女性客:
「野菜でもいろんな新鮮なものがあって、珍しいものがあったりする」

一般的なスーパーではあまり見かけない珍しいものも揃っています。イオンタウン千種店は、多い日には1日1000人の客が訪れる人気店です。

■珍しい野菜もお値打ちに販売…人気の秘密は生産者が直接客に販売する“直販システム”

 わくわく広場の人気の秘密は、お店が契約農家から野菜を仕入れて販売するのではなく、生産者が直接お店に野菜などを持ち込んで販売しています。

生産者の男性:
「ネギに値段のシールを。値段は生産者がつけたい値段をつける」

この「生産者登録制システム」は、生産者が店に手数料を払い「消費者に直接売る場所」を確保する仕組み。そのため陳列する商品や値段などは、生産者が自由に決めることができます。

一般的には、私たちに商品が届くまでに複数の業者が入りその分経費が掛かりますが、わくわく広場ではその中間マージンがないため、旬なものをリーズナブルに販売することができるのです。

 この日は、太くて立派な「大根(岡崎市産)」(248円)に、大きな「白菜(豊川市産)」(213円)、「イチゴ(豊川市産)」(1パック678円)が販売されていました。

普段はあまり見かけない里芋の親芋「里芋(親)(安城市産)」(432円)や、カリフラワーの仲間「ロマネスコ(稲沢市産)」(280円)など珍しい野菜もあります。

生産者によって、大きさや値段が違うのも特徴です。

■週3回「わくわく広場」で野菜を販売…農薬や肥料を使わない“自然栽培”の野菜を届ける生産者

 わくわく広場で野菜を販売する生産者の一人「自然栽培グループ とものわ」の近藤真人さんは、千種と新瑞橋のイオンに週3回野菜を届けています。

近藤さんのグループは、愛知県豊田市で約20種類の野菜を生産。今はブロッコリーの収穫時期で、農薬や肥料も使わず自然の力で育てる「自然栽培農法」で作っています。

生産者の近藤さん:
「肥料を使わないと自然本来の栽培になり、厳しい環境の中で育ったものはぎゅっと味が詰まって味が濃い」

 しかし、この育て方は天候や気温などの影響を受けやすいため生産量は少なく、スーパーに大量に卸すことはできません。わくわく広場なら少しからでも置くことができ、今では自然栽培の「ブロッコリー(豊田市産)」(1袋170円)には、ファンも付いているといいます。

生産者とお客さんの懸け橋となる「わくわく広場」。この日は本業が金属加工業という男性も、野菜を並べていました。

金属加工業の男性:
「別事業で水耕栽培をやってまして、ベビーリーフと食べられるお花を。なかなか一般には出回らない野菜ですけど、徐々にリピーターさんが増えてきています」

■街の飲食店のテイクアウト弁当が並ぶ…本格的な味が揃う「弁当&総菜コーナー」

 生鮮食品だけでなく、お弁当や総菜も販売しています。お弁当や総菜も、野菜と同じく出品者は登録制で、その多くは地元の飲食店です。

ボリューム満点の幕の内弁当に、イクラやタラコが入った大きなおにぎり。ナンが付いた本格的なインドカレーなど、お弁当だけでも20店舗が出品。

男性客:
「いろんな国のお弁当があって、いろいろ選べていい」

さらに、フルーツサンドやシフォンケーキといったスイーツも並びます。

■きっかけはコロナによる客の減少…テイクアウト商品をわくわく広場に出品する中華料理店

 愛知県豊田市にある「風味定食屋」は、店自慢の中華弁当を出品しています。「中華飯」(734円)と「酢豚」(453円)、と「エビマヨ」(507円)をそれぞれ単品で購入すると1694円ですが、3つ同時に買うと1080円とお得です。

 豊田市や一宮市に4店舗を展開している「風味定食屋」は、昼時には満席になるほどの人気の中華料理店で、多い日にはお弁当など2000パックを愛知県内7つのわくわく広場に届けています。

食材を大量に仕入れることで、お店でも台湾ラーメンと酢豚や炒飯がセットになった「酢豚定食(炒飯付き)」が1180円とリーズナブルに食べられます。

 この店がわくわく広場への出品を始めたきっかけは、新型コロナでした。客が減少し、従業員の手が空くようになったため、2021年秋頃から弁当や総菜を出品。味と安さで話題を呼び、すぐに人気となりました。

 わくわく広場へのお弁当の出品を始めた人たちの多くが、様々なメリットを感じていました。

みよし市の和食店の女性:
「お店だと、来てくださるお客さんしかないけど、ここ(わくわく広場)に置かせていただいて、範囲も広がるし客層も変わるので利点がいっぱい」

守山区の中華料理店の男性:
「弁当にQRコードをつけているので、アクセスしてお店に来てくれる方も結構いる。ここから知ってもらえて広がっていくのはいい」

 野菜からお弁当まで、生産者のこだわりが詰まった「わくわく広場」には、魅力的な商品がお値打ちに揃っています。