名古屋市中川区に、キッチンやリビングなどを共有しながら、43人が共同生活をするシェアハウスがあります。このシェアハウスを取材すると、コロナ禍で人との交流を求める若者たちの姿がありました。

■共有キッチンからトレーニングジムまで…43人が共同生活するシェアハウス

 仲間の誕生日会に、映画鑑賞。その隣では、入居者の髪を切る男性も…。

【画像20枚で見る】『シェアハウス』で暮らす43人の男女たち コロナ時代に求める“人とのつながり”

名古屋市中川区にある、社員寮をリノベーションした3階建てのシェアハウス「Multiple share 180°八田」には、共有のキッチンやリビングはもちろん、仕事スペースに、トレーニングジムまで完備されています。

入居2年の配達業の男性(34):
「以前、1人暮らししていたけど、すごい寂しかったので」

入居半年のアパレル業の女性(22):
「(名古屋に)知り合いがいなかったので、友達ができるかなと」

入居1年の美容師・映像クリエイターの男性(24):
「いろんな業種の人がいるので…。話が聞けるので、それが魅力」

シェアハウスへ入居する理由はそれぞれです。このシェアハウスには、独立してプライベート空間もあり、居住用のワンルームが62室、43人が共同生活を送ります。

■学校の先生や会社員など職業は様々…20歳から42歳までの男女が暮らすシェアハウス

 午前7時。1階にある共有のキッチンでは、トーストにスクランブルエッグなど、手分けして朝食の準備をしていました。

入居1年の男性(29):
「簡単なやつを、みんなで食べようと…。ゆっくりおいしいものを食べて、楽しもうみたいな」

 仕事前に入居者が集まってきます。

入居2週間の会社員の女性(23):
「上のリビングとか、ダイニングもですけど、誰かいるので。寂しくないというか交流ができて楽しい」

シェアハウスに住むのは、20歳から42歳までの43人で、学校の先生や会社員など職業は様々です。

■人と話せるのが大きい…新たな出会いと発見を求めてシェアハウスで暮らす男性

 一足遅れて現れたのは、入居して2年の配達業の金子大樹さん(34)です。

金子さん:
「時間が空いた時に、(誰かと)話せるのがすごい大きい」

朝食を終えて向かったのは、自分の部屋。

金子さん:
「2年も住んでいると慣れます。最初はちょっと狭いなと思ったけど、他のシェアハウスだとトイレとかお風呂とか共有の場所が多いけど、ここは全部セパレートなのでいい」

共有スペースとは別に、一人一人の部屋が確保されており、プライベート空間を重視するイマドキのシェアハウス。9畳一間に、キッチンや風呂、さらにベッドや冷蔵庫などの家具・家電付きで、家賃は3万3800円から3万9800円(共益費・電気・水道料などは別)。金子さんがここを選んだ理由は…。

金子さん:
「以前日本一周していたので、人と話すことが楽しいというか…。旅を通して思ったのが、『ありがとう』だった。いろんな方によくしていただいたので、今度僕が会う人たちには、それを返したいなと…」

日本一周の旅で、人の温かさに触れました。金子さんは、新たな出会いと発見を求めてシェアハウスで暮らしています。

■職場以外の人間関係を求めて…シェアハウスに引っ越してくる人たち

 午前11時。2階にあるランドリーには、自動販売機、洗濯機、乾燥機があります。洗濯機などは入居者同士で取り合いにならないのでしょうか。

入居2週間の会社員の男性(24)
「結構みなさん、生活リズムがバラバラなんで…」

 勉強部屋であるスタディルームも…。

入居2週間の外国人の男性(33)
「アメリカのコロラド州(から来ました)。宣教師です。日本人にイエス・キリストの話を話すために、日本語の勉強をしています。このシェアハウスは2か月だけ(入る)」

一時的な転勤など、短期間の滞在者も多いといいます。

 お昼時。共有のキッチンでは…。

入居1年の看護師の男性(25)
「夜勤なので、これから。(昼食は)ここで食べてもう1回寝て出勤しようかなと。外出歩いちゃダメと、厳しくて、医療職なので人一倍気にしていて。こういう場所だったら、誰かと接する機会もあるかなと…」

病院と家の往復が続く看護師…。職場以外の人間関係を求め、2021年にシェアハウスに引っ越しました。

■「同じ生活時間の人と知り合えるからカップルになっちゃう」…シェアハウスの恋愛事情

 午後5時に、共有のキッチンに立つのは入居して2年の金子さん。率先して夕食の準備でしょうか。

金子さん(34):
「パーティーの準備。(自分の)誕生日会もかねて。作るのと、食べてもらうのが好きなので、『おいしい』って言ってもらえたら嬉しいなと」

主役自ら、10人分の回鍋肉や麻婆豆腐を振舞います。そこに1人の女性が…。

入居2年の女性(28)
「(金子さんの)彼女です。ここで知り合いました」

金子さん:
「話が合ったので…。話しやすいなっていうのと楽しいなって」

同・女性:
「ここに来る時間帯が合う人たちでおしゃべりするから、同じ生活時間の人と知り合えるから、カップルになってきちゃうんです」

生活リズムが同じことから、交際に発展することもあるといいます。

パーティーでは、金子さんの手料理も好評。夕食後には、バケツのプリンで誕生日をサプライズ。

入居者同士が交流を図ります。

■色んな業種の人がいて色んな意見が聞ける…シェアハウスで暮らすメリット

 バナナを食べている男性は、入居者から新たな趣味を教えてもらったといいます。

入居1年半の郵便配達員の男性(27):
「トレーニングするんで、これから。(トレーニングを)やっている人いて、教えてもらいながら本格的にやるように」

同・男性:
「趣味を見つけられる。この人こんなことやっているんだって、ちょっとやってみようかなって選択肢が増える」

 映画鑑賞をする人たちの隣では、入居女性の前髪を切る男性が…。

入居1年の美容師・動画クリエイターの男性(24):
「チャチャッと切ってあげて、逆にご飯を作ってもらうみたいな…。技術の物々交換。仕事以外でそういうスキルを使うことで、本当に好きでこういう仕事やっていたんだっていうきっかけにも」

 共同で生活することで新しい知識も得られるシェアハウスのメリット。

同・男性:
「動画の撮影と編集の仕事をしていて、色んな業種の人がいるので。色んなものを知っていた方がいいと思うし、感性だったり、他業種からいろんな意見をもらえたり話が聞ける」

個性豊かな“十人百色”のシェアハウス。人とのつながりを求める、イマドキのご近所付き合いです。