今も公園に90か所程残る…『富士山すべり台』なぜ名古屋にだけ多いのか 背景に昭和40年代の“人口急増”
東京都足立区に特に多いという「タコのすべり台」がSNSで話題になりましたが、名古屋市の公園には山の形をした「富士山すべり台」が多く設置されています。なぜ名古屋にだけ富士山すべり台が多いのかを調べると、人口が急増していた昭和40年代に、公園に設置するために市の職員が設計した名古屋オリジナルの遊具であることがわかりました。
■階段の代わりに石段があるのも特徴…名古屋の公園に多くある「富士山すべり台」
まずは、名古屋市中区の「裏門前公園」へ。
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この公園に設置された富士山すべり台は、硬いコンクリート製の赤色で、裏には階段の代わりに足をひっかける石段があります。
中川区にある「昭和橋公園」にも、同じく赤い富士山すべり台が。
共通する特徴は、「コンクリート製」で「石段」があり、「傾斜が急」で、なぜか「赤色」ということです。
さらに調査をすすめると、2つの山が連なっている富士山すべり台もありました。
■市内に約90か所…赤だけでなく3色に塗り分けられたタイプも存在
個性豊かな富士山滑り台は、名古屋にどれくらいあるのでしょうか。富士山すべり台を研究して20年、2021年には富士山すべり台の本まで出版した牛田吉幸さんに話を聞きました。
富士山すべり台の専門家・牛田吉幸さん:
「今まで120か所くらい作られたけど、今でも90か所くらいは残っています。吹上公園の富士山が第一号。昭和41年に作られて、ここを発祥として名古屋市内に広がった」
全国にあるタコの滑り台と違い、富士山滑り台のほぼ全てが名古屋市内にあるといいます。ところで、富士山といえば青のイメージですが、なぜ赤なのでしょうか。
牛田さん:
「そう(富士山)呼んでいるけど、名古屋市では図面に『プレイマウント』と書いてあり、別に富士山を意図しているわけではない」
特に富士山が意識されているわけではなく、見た目が似ていたために、いつの間にか富士山すべり台と呼ばれるようになったといいます。
確かに、牛田さんのアルバムには、白やグレー、さらに3色に塗り分けられたタイプも存在し、富士山のような青もありました。
■多くの子供が一度に滑ることができるように…名古屋市の職員が設計したオリジナル遊具「富士山すべり台」
なぜ名古屋市にだけ、これほど多いのでしょうか。
牛田さん:
「名古屋市の職員が設計した、名古屋市のオリジナル遊具」
昭和40年代に、名古屋の人口増加とともに公園も増え、プレイマウントというすべり台が市内に次々と作られました。
牛田さんによると、たくさんの子供が一度に滑ることができるようにと、この形が採用されたといいます。子供の数が多かった昭和の公園の象徴ともいえます。
■小さい子供でも安心して遊べるように…進化系の「富士山すべり台」はウレタン製
刈谷市の「岩ケ池公園」には、今の時代ならではの進化系の富士山すべり台がありました。
刈谷市役所の担当者:
「楽しく安全に遊んでもらいたいと、柔らかい素材を」
2018年にできたこの富士山すべり台は、小さい子供でも安心して遊べるように、コンクリート製ではなくクッション性の高いウレタンで作られました。
名古屋の公園に、なぜ富士山すべり台が多くあるのかを調べると、昭和40年代に市の職員が市内の公園に設置するために設計した名古屋オリジナルの遊具であることがわかりました。