参院選は7月10日が投開票日です。立憲民主党の現職の引退に伴い、新人4人が争う三重選挙区では、議席を奪いたい与党と守りたい野党との間で、激しい戦いが繰り広げられています。

自民党・山本佐知子候補:
「この三重県の繁栄が、自公連立政権の何よりも望むところなのであります」

 自民党の新人、山本佐知子さん(54)。6年前、野党の現職に敗れた雪辱を期して、再び参院選に挑戦しました。

【動画で見る】参院選・三重選挙区に自民の大物弁士続々 与野党間で繰り広げられる激しい戦い 共産は無所属候補を側面支援

 物価高騰を抑えるための与党の取り組みを訴えるほか、旅行会社に長年勤めた経験を活かして、観光振興に取り組むとアピールしています。

自民党・山本佐知子候補:
「三重県に来る観光客の方の最も多い理由というのは、多様な『食』を楽しみたい、そういう方が大変多いんです。まさにここはそのすべてを満たしてくれる、そうした観光地の理想郷だと私は思います」

 そんな山本さんを支援するため、自民党は大物の応援弁士を次々に投入。

岸田文雄首相(6月17日):
「この参議院選挙において、山本佐知子さんに力を与えて、この課題に挑戦をさせていただかなければならない」

 公示前に駆け付けた岸田総理をはじめ…。

安倍晋三元首相(7月1日):
「再び立候補する、これはやっぱり勇気のいることだと思う。再び立ち上がった山本さんのこの思いに、皆さん応えていこうではありませんか」

 安倍元総理や菅前総理らが入れ替わり立ち替わり三重を訪れ、有権者に支持拡大を訴えます。

 自民党がここまで力を入れる理由。それは、三重がかつて「民主王国」と呼ばれるほど野党が強く、これまでの国政選挙で幾度となく激戦が繰り広げられてきたためです。

 与野党の勝敗を分ける1人区の中でも、6年前に「黒星」を喫した三重は、是が非でも獲りたい考えです。

 攻勢を強める自民党から、野党の議席を守ろうとしているのが…。

無所属・芳野正英候補:
「非自民の議席を確保してきた、全国でも稀な選挙区であります」

 元三重県議で、立憲民主党・岡田克也衆院議員の秘書も務めた芳野正英さん(47)。

 立憲だけでなく、幅広く野党の協力を得るため、3年前に続いて敢えて無所属で立候補しました。

無所属・芳野正英候補:
「分配から始まる経済成長、分配から始まる地域活性化に向けて、芳野正英、全力で取り組んでまいります」

 公示日第一声の演説会場に詰めかけたのは、芳野さんを推薦した立憲や国民民主党、それに両党を支える連合の幹部です。

 ただ、3年前には見られた共産党の関係者の姿は見当たりません。今回はどうしているのか…。

共産党三重県委員会の大嶽隆司委員長:
「(Q.芳野候補の第一声は行かず?)今回は行ってないですね。前回3年前、6年前は一応『野党統一候補』でしたからね。今回は(共産党は)自主支援だから」

 2021年秋の衆院選で「野党共闘」が成果を上げられず、立憲内に禍根が残ったことから、今回は協定を結べず自主支援に。表へは出ず、電話作戦などで側面から芳野さんを支えます。

電話をかける男性党員:
「比例の方は共産党、選挙区の方は芳野さんということで是非」

電話をかける女性党員:
「選挙区は芳野さんを是非ご支援いただけたらと、お願いします」

共産党三重県委員会の大嶽隆司委員長:
「共闘感というか、それはないからね、これはちょっと残念ですよね。選挙というのは最後の最後までわかりませんのでね。頑張りたいなと思いますけどね」

 三重選挙区にはほかにも、NHKの受信料制度の改革を訴えるNHK党の門田節代さん(54)。

NHK党・門田節代候補(6月22日):
「NHKはさっさとスクランブル放送して、国民のためになる情報を発信させなければならない」

 諸派の堀江珠恵さん(47)が立候補しています。

 与野党がそれぞれの組織を挙げてぶつかり合う三重選挙区、新人同士の争いを制するのは、果たして…。