7月10日投開票の参院選で、愛知選挙区には4つの改選議席に対し17人が出馬しています。議席の死守を図る現職の戦いを取材しました。

 過去2度、愛知選挙区でトップ当選を果たしてきた自民党・藤川政人さん。

麻生副総裁(7月1日):
「(藤川候補は)年も取ってきたけども、何となく貫禄がついて前より良くなったよと、嘘でもいいから(周りに)言ってもらって」

【動画で見る】改選議席4に17人出馬…参院選愛知選挙区 議席死守図る現職の戦い TikTokから“名刺”まで知恵絞る

 派閥の領袖や仲間、大物政治家が次々と応援に入るなど、組織力を活かした戦いを展開します。

自民党・藤川政人候補:
「漠然とした不安が皆さん方の中にあります。景気、物価高もそうです。即座に各種予算を通じて、家計支援、そして物価高対策を進める」

 党の高い支持率も追い風に、トップ当選を狙う藤川さん。他党のライバル候補たちと争いを続けていますが、実はいま最も警戒しているのが暑さです。今回の選挙戦から毎日持ち歩いているクーラーボックスの中には…。

自民党・藤川政人候補:
「お茶、スポーツドリンク、水。これも必要だね、肌キンキンシート。頭を冷やすスプレー」

 熱中症対策も抜かりなく、3期目の当選を目指します。

安倍元首相:
「今私たちは連立与党として、安定した政治基盤の上にしっかりと政策を進めているんです」

 安倍元総理が応援に駆け付けたのは藤川さん…ではなく、公明党の里見隆治さん。

 与党で2議席を獲得するためにと、菅前総理の応援も得た里見さんは、「働く人のミカタ」をキャッチフレーズに2期目を目指します。

公明党・里見隆治候補:
「事業主に賃金が払えるだけの経済の環境、成長の環境を作っていく、そして中小企業も盛り上げていく。その中で賃金も払えていけるんです」

 街頭で地道に政策を訴える活動を続けつつ、今回新たに力を入れているのがSNSでの動画配信です。朝は活動への意気込みをツイッターに投稿、夜は生配信で有権者からの質問に答えます。

 中でも話題となっているのが、TikTokでのダンス動画。若い世代にも興味を持ってもらおうと、やれることは何でもやる覚悟です。

 そして、名古屋市中区栄の真ん中に突如あらわれた「黒板」。

立憲民主党・斎藤嘉隆候補:
「大学の授業料を全てタダにする、給食費を全部タダにする」

 3期目を目指す立憲民主党の斎藤嘉隆さん。

 元小学校教師として、給食費の無償化や児童手当の拡充など「子どもたちの未来をあたためる」政策が訴えの柱です。

 青空教室のほかにも、泉代表と大須商店街を練り歩くなど支持拡大に余念がありませんが、今回は強い危機感があります。

 というのも…。

立憲民主党・斎藤嘉隆候補:
「連合愛知さん等も含めてですね、支援の状況も前回・前々回とはかなり変わっていますから」

 斎藤さんを支えてきた連合傘下の労働組合のうち、全トヨタ労連など民間の労組の多くは今回、国民民主党の伊藤孝恵さんを支援。

 立憲に付く労組の票を固めるだけでは前回並みの得票は難しく、無党派層への浸透が課題になっています。

立憲民主党・斎藤嘉隆候補:
「かなり厳しい選挙戦になっていることは間違いないと思います。こんな顔で日焼けはもっとすると思いますけど、頑張りたいと思います」

 ヤングケアラー支援や子どもへの政策を訴えるのは、国民民主党の伊藤孝恵さん。

国民民主党・伊藤孝恵候補:
「育児や介護、家事も全部全部全部、他の人にやってきてもらった人たちがした政治が、今の日本を作っている。だから今、今変えなきゃいけない」

 立憲の斎藤さん同様、労組票が大きな支えですが、有権者への「飛び込み営業」にも力を入れています。

 配っているのは名刺型のチラシ。コロナ禍で握手がはばかられる中で捻り出したアイデアです。

 また街頭だけでなく、自身のYouTubeやインスタグラムでの発信にも余念がありません。

 自分も子育て真っ最中だからこそ気付く課題に取り組みたいと、再び立候補した伊藤さん。

伊藤孝恵候補の夫:
「今、名刺配りの極意を学んでいます」

 家族も総出の選挙戦で、愛知の女性では初の再選を目指します。

 現職4人が議席の維持に向けて火花を散らす愛知選挙区。

 このほか主要政党や諸派、無所属の新人が合わせて13人立候補していて、有権者に支持を訴えています。

 参院選の投開票は7月10日です。