新型コロナの感染者が急増しています。患者が病院に行くのではなく、ドクターが患者の自宅を訪問する自宅診療の依頼も増えています。往診の様子からは急増の背景も見えてきました。

 7月1日、防護服を来た医師が向かった先は、名古屋市内に住む3歳の男の子のもとです。

男の子の父親:
「(息子が)せきと、喉が声がガラガラで、たんが出ます。さっき測ったので、36.9度から37.1度」

家来るドクターの医師:
「痛いところはない?大丈夫そうですね。お薬を5日分出しておけばいいかなと思うので」

 診断の結果、コロナではないということで、しばらく様子を見ることに。

家来るドクターの医師:
「バイバイ、寝ると元気になるよ」

 愛知県北名古屋市のクリニックに事務所を置く「家来るドクター」。医師およそ50人が登録し、病院が診療時間外となる夜間と休日に医師が往診に向かいます。

【動画で見る】“第7波”感染再拡大の傾向…『家来るドクター』に往診依頼が急増中「発熱はまずコロナ疑って」

 第7波とされる中でのコロナの感染状況は、愛知県内で自宅療養者は1万7千人を超え、学校や保育園などでクラスターが増加しています。家来るドクターへの往診依頼が急増し、先週からは多い日で70件以上になったといいます。

家来るドクターの医師:
「6月上旬と比べて、7月上旬は1.3倍〜1.6倍まで往診件数が増えています。熱だったり、喉の痛み、鼻水、せき、そういった症状が多いですね。(コロナ検査の陽性者率は)今は約50%くらいですね」

 往診エリアは名古屋市と尾張地域など。午後7時から医師とスタッフで患者の自宅へ。

家来るドクターの医師:
「家来るドクターです、よろしくお願いします」

 感染対策のため、ドアを開けたまま玄関で診察します。診察依頼は名古屋在住の30代の母親と7か月の息子で、2人とも38度を超える発熱です。

母親:
「(息子は)たまにせきがひどくなって、母乳を吐き戻すみたいな」

 家族がコロナ陽性になり、2人もせきや頭痛などを訴え、抗原検査を受けることに。結果は、2人とも「陽性」でした。

家来るドクターの医師:
「授乳とかはもう終わっている?ロキソニンとカロナールの薬があって、子供には授乳する時はカロナールがいい。隔離をすごく厳密にやられる方もいますけれど、しばらくですね…保健所の方には僕らの方から連絡しておきます」

母親:
「病院に行けなかったので助かりました」

 感染第7波と言われる状況。感染者の傾向はあるのでしょうか。

家来るドクターの医師:
「若年者が多いですね。50歳未満の患者さまが非常に多いと思います。そこから、お子さんから同居されているご家族、おじいさま・おばあさま、そういった形で伝染している。皆さんの感染意識が少し緩まったタイミングでまた起きている印象もあるので。変異株の出現によって、感染がまたさらに起きているんじゃないかなと思います」

 コロナに加えて心配なのが熱中症です。

母親:
「(息子が)しんどいようで」

家来るドクターの医師:
「おうちに上がらせていただいてもよろしいですか?」

 12歳の男の子が39.8度の発熱です。

母親:
「熱中症かなと思って…。すごい熱が」

 鼻の中に綿棒を入れて粘液を採取。検査キットに入れて5分もたたずに結果が出ます。コロナは陰性でした。

家来るドクターの医師:
「熱が下がったらだいぶ楽になるかなと思うので、解熱の鎮痛薬、大人も使えるようなお薬を出しておきますので」

 発熱を伴う「新型コロナ」と「熱中症」。どう区別して対応すればいいのでしょうか。

家来るドクターの医師:
「まず熱が出たら、熱中症じゃなくてコロナを疑っていただく方がいいかなと思います。コロナであれば、喉の痛みや鼻水、せきが出てくるはずです。まずPCR検査だったり抗原検査を受けられた方が、望ましいかなと思います」

 12日の愛知県の新規感染者数は6082人で、先週の同じ曜日と比較して2.5倍以上となりました。6月下旬から増加傾向にありましたが、それが緩やかに見えてしまうほどの急激な増加です。

 感染を抑止するためには、基本的な生活ルールをもう一度徹底するしかありません。家来るドクターの福井医師は「外出するときは熱中症への警戒も必要としてマスクは付けず、なるべく周囲と距離を取ってしゃべらないように」と話しています。

 また「密閉空間で人が集まるところでは、室温をしっかり下げてマスクを着用することが望ましい」としています。