スタバ全店舗で1日25トン廃棄…進む『コーヒーかすのリサイクル』コメダでは98%再利用してグッズ販売
喫茶店やカフェで出るゴミで一番多いのは、実はコーヒー豆のかすだ。全国展開しているコーヒーチェーン店、スターバックスコーヒーやコメダ珈琲店では、今、コーヒーのかすが様々なものに生まれ変わっている。
■スタバ全店舗で1日25トン…進むコーヒーかすの再利用
全国で1700店舗を展開する「スターバックスコーヒー」。世界的なコーヒーチェーンで、ミライに向けた取り組みが行われている。
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スターバックスの担当者:
「ここの壁、セメントボードなんですけど、表面に少しコーヒーかすを入れて温もりを出すのに使ったりとか、あと店舗で使っているトレイに3%ほどコーヒーを入れることで、使うプラスチックを減らしてみたりという取り組みをしています」
スタバで出るゴミの4割が、コーヒーのかす。一日に一店舗当たり約15キロ、全店舗で毎日25トンが捨てられている。
スターバックスの担当者:
「一番出るゴミが、豆かすになるんですね。コーヒーを提供する事業者として、コーヒーのより有効な活用方法が見出せたらいいなと…」
伊勢茶の産地、三重県四日市市。この畑では堆肥にスターバックスのコーヒーのかすで作った土が使われている。
萩村製茶の取締役:
「結構コーヒーかすの効果があって、ちょっと黒っぽい感じになっていると思うんですけど」
コーヒーのかすには、臭いを吸収し水分を保つ特徴があり、特殊な菌を混ぜて発酵させると優れた堆肥に生まれ変わる。この畑では5年前、コーヒーかすの堆肥を使い始めたところ、土壌に変化があらわれた。
萩村製茶の取締役:
「ここの畑は元気のない畑だったので…、見ての通り元気になってきてるんですよね。随分変わったので、効果あるのかなって思ってますけどね」
コーヒーかすには抗酸化作用があり、牛のエサに混ぜて再利用。とれたミルクは、店で使われている。サンドイッチに使う野菜も、コーヒーのかすの堆肥で育てたもの。スタバでは全店舗のうち4割ほどの店でコーヒーのかすのリサイクルをしている。
スターバックスの担当者:
「リサイクルとか循環とかって、今までやってたことをもう少し複雑にすることだったり、手間ひまかかるものであると思うんですけど…。できれば全てのコーヒーかすをリサイクルする時が来たらいいなと思って、一歩一歩進めているんです」
名古屋の人気の喫茶店「コメダ珈琲店」では、コーヒーのかすの98%をリサイクルしているという。コースターにもかすを再利用。よく見ると、コーヒー豆の粒が透けて見える。
また、コーヒーかすで染めたトレーナーやパーカーなど、様々なグッズを販売している。
コメダの担当者:
「身近なものでかわいいなと思って手に取って頂いたものが、実はコーヒーかすを再利用したものだったというところは、お客さまにとっても大変喜んで頂いている部分かなと思っております」
■変わっていくきっかけに…コーヒーのかすから新素材を開発するデザイナー
名古屋市熱田区で2022年6月、「素材デザイナー」による新素材の展示会があった。
展示されていたのはランプシェードに植木鉢、イス…。
大学生:
「(イスの匂い嗅ぐ)コーヒーの匂いする?」
別の大学生:
「匂いはしないね」
作ったのは村上結輝さん。名古屋芸術大学を卒業後、「廃材」を使った作品を作っている。今回の「廃材」は、コーヒーかすだ。
村上さん:
「こちらはカフェからもらってきたコーヒーの出し殻を、いま乾燥しているものになります。僕が開発している素材の『カフェオレベース』っていう、コーヒーかすと牛乳を使った素材になります。接着剤が混ざっているのと、他に加えている素材が反応して固まっているんですけど、かなり強度が出るような素材になっています」
村上さんが開発した素材「カフェオレベース」。コーヒーのかすと、廃棄される牛乳や麻などを配合し、セメントほどの硬さになりました。
村上さん:
「かなり試行錯誤して、塗ることによってコーヒーのつぶつぶ感が残って、こういうゴツゴツしたテクスチャー(質感)になるので、それを狙って塗り付けて作ってたりしています」
毎朝、欠かさずコーヒーを飲む村上さん。コロナが、自分の暮らしを見つめ直すきっかけになったという。
村上さん:
「今まで見てなかった自分の消費行動とか、どんな生活をしてどんなゴミを出してたのかっていうのが、(コロナで)ずっと家にいるからこそ分かってきて。こんなにプラスチックのゴミ出してたんだなとか。僕と同じような、廃棄を見た時に何か自分でもできないかって行動に変わっていくきっかけを作りたいなって思いでやっている」
展示会では、多くの若者が村上さんの作品に注目した。
村上さん:
「若いからこそ今後、未来がどうなるのかっていうのはより考えると思うので、この先、大量生産・大量消費が続いた時、結構自分が損するんじゃないかなって、ちょっとずつみんなの考えを変えていって、廃棄っていう概念が無くなるような未来を作っていきたいなっていう風に思っています」
■スタバと森林組合がタッグ…コーヒーのかすと木くずで堆肥づくり 将来は森を豊かに
大阪府の南東部にある、スターバックスコーヒー河内長野高向店。建物の壁やインテリアに、地元の「河内材」のヒノキやスギが使われている。
この店では月に1度、森林組合と共同で「堆肥づくり」をしている。「コーヒーのかす」と木材の「木くず」をブレンドする。
大阪府の森林率は、全国で最も低い約30%。荒れた森を豊かにするために、スタバと森林組合がタッグを組んだ。
大阪府森林組合の職員:
「ゴミとして産業廃棄になっているものを、お互い産業廃棄になりがちな物に価値を見出したいってところから、ヒントはあったと思いますね」
スターバックスコーヒー河内長野高向店の担当者:
「ただここでお店を営業するだけではなくて、何か地域のために一緒にできることがあればってところで、豆かすに繋がってきたってところになります」
堆肥はコンポストで発酵させ、その後どんぐりを植えて、将来は山に還して森を豊かにする計画だ。
同・担当者:
「自分たちが日々捨てている豆かすが、こうやって土になって、また植物が育ってっていうのを見てみると、やっぱり感動というか、愛情を感じますね」
日本では、一人当たり一週間に12杯ほど(11.53杯)コーヒーを飲んでいる。毎日のコーヒーブレイクが、私たちのミライを考える時間に…。